近年、高齢の賃貸オーナーが増加する中で、認知症の発症が賃貸経営に深刻な影響を及ぼすケースが目立っています。アパートなどの収益不動産は、保有しているだけで安心という資産ではなく、維持・管理・運用が不可欠な「経営対象」資産です。
そのため、所有者本人が判断能力を喪失すると、賃貸経営はたちまち行き詰まってしまいます。
高齢者リスク増加
認知症による賃貸経営のリスクは多岐にわたります。例えば、入居者との賃貸借契約の締結・更新・解約、建物の修繕や管理会社との管理委託契約、金融機関との取引、さらには物件の売却や建て替えといった重要な判断が必要になる場面があります。
これらはすべて「法律行為」であり、民法では、意思能力がない者による法律行為は無効(民法第3条の2)とされています。