家族信託で3つのリスクを避ける 認知症対策が事業継続の要【賃貸住宅フェア2025 東京セミナーレポート】

司法書士法人ソレイユ

税務・相続|2026年04月10日

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講演者
司法書士法人ソレイユ
友田 純平氏

 

相続相談「親が元気なうちに」

任意後見制度 信頼する人を指名

 親が元気なうちに次世代にどう財産を引き継ぐかを話し合っておくことは、非常に重要だ。急に親が倒れて判断能力を失ったり、認知症になってしまったりした際の対策として「任意後見」と「家族信託」の制度がある。

 任意後見は、本人がまだ元気なうちに信頼できる人を後見人に指定できるというものだ。認知症になったりして判断能力に難があるような人の財産を守るための制度になる。

 任意後見では、本人が元気で判断能力があるうちに後見人の指名が可能で、通常は子または配偶者が後見人になることが多い。一方で、急に本人が倒れるなどして、何も対策がない状態で財産管理が難しくなってしまった場合に、家庭裁判所が後見人を選ぶのが法定後見だ。

 家庭裁判所は、司法書士や弁護士といった法律の専門職を後見人に指名することが多く、その人たちが代わりに財産管理をする。この場合、家族に財産管理の権利がないということがネックになる。家庭裁判所が家族を後見人に選んでくれたら良いが、親族間に意見の対立がある場合や、財産の額や種類が多く処理が煩雑な場合、後見人の候補者と本人との生活費が十分に分離されていないなどの問題が認められると、家庭裁判所が専門家を後見人に指定する傾向が強くなる。特に不動産オーナーはそれらのケースに該当することが多い。

家族信託の活用 生前、不動産承継可

 これらの点から、可能であれば、任意後見よりももう一つの手段である家族信託を薦めたい。家族信託は本人が元気なうちに財産の管理・継承を進める方法。成年後見制度よりも柔軟で、特定の目的を持った財産管理が可能となる。

 メリットとしては、生前に後継者への不動産の経営承継が可能だ。本人が倒れたとしてもすでに後継者が受け継いでいるため、成年後見人をつけなくても不動産の経営や賃料の管理が可能となる。さらに、ほかの手法よりも権利の移転コストが低い。そして、相続が発生したときの相続先を決められることも利点だ。

 デメリットもある。本人の判断能力があるときにしか契約ができず、信頼できる家族、友人などがいなければならない。信託契約の時から不動産の管理権限が子どもに移るため、登記簿の変更などが必要になる。

 信託できるのは財産管理だけのため、本人に代わって遺産分割協議はできない。状況次第で任意後見と家族信託の併用も検討する必要があるだろう。

 ぜひとも親が元気なうちに今後どうしていくのか相談し、将来に向けた対策をしてもらいたいと思う。

(2026年4月6日18面に掲載)

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