第1弾は建築家・隈研吾氏監修
海外投資家とのネットワークを強みに総合不動産事業を展開し、東通建物(東京都港区)など4社から構成される東通グループは6月、都内で事業戦略発表会を開催した。2025年からの5カ年計画で、運用資産規模3000億円の目標を掲げ、実現に向けて新たに賃貸住宅ブランドの立ち上げを発表。25年度は東京都で3棟の着工を計画する。なお、24年12月末時点で、グループでの投資累計額は1000億円を突破している。
新ブランドは「THETOTSU(ザトーツー)」と高級路線の「TOTSU PREMIUM(プレミアム)」の二つ。TOTSU PREMIUMシリーズの第1弾は、建築家の隈研吾氏が設計監修を務める。東京都港区・白金台エリアで25年内の着工を計画し、企画コンサルティングにはケン・コーポレーション(同)が入る。
東通建物の桜井吉男執行役員は「開発する賃貸住宅では、多様化するニーズに対応することで新たな需要を掘り起こしていきたい。例えば、東京都品川区で建築中の大型ペットとの共生賃貸。都心の真ん中で大型犬を飼うことができる賃貸として付加価値を提案していきたい」と話した。
東通グループが手がける賃貸住宅の完成イメージ
発表会の後半は、不動産業界の未来についてトークセッションを実施。モデレーターは、実業家でクリエイティブディレクターの辻愛沙子氏が務めた。設計監修中の物件について思いを問われた隈氏は「白金台という立地は交通利便性が高い場所であると同時に高級住宅街だ。一方で、歴史ある大学と武家屋敷が建っていたことから石垣が残っている。これにインスピレーションを受け、都心でも石・緑・空を感じられるデザインを取り入れている点がこの物件の特徴だ」とコメントした。
同グループは4月、アジリティー・アセット・アドバイザーズ(東京都中央区)との合弁会社を設立し、不動産資産運用事業を強化している。
(2025年7月7日2面に掲載)