地場不動産会社で約1400戸を管理するリークスプロパティ(三重県四日市市)は、約11万戸の賃貸住宅を運用するJPMC(東京都千代田区)にグループ入りし、成長を目指す。JPMCが活用する業務管理システムを導入するなど、業務効率化や売り上げ向上を目標に掲げる。
新体制で管理獲得
システム導入 属人化を脱却
リークスプロパティは、親会社となったJPMCが活用するシステム導入により、属人的な体制からの脱却を図る。
JPMCがリークスプロパティをM&A(合併・買収)したのは2024年12月。全株式を取得した。
JPMCは約11万戸の賃貸住宅を運用し、東証プライム市場に上場する。
一方で、リークスプロパティは2007年に設立し、四日市市をメイン商圏に、賃貸管理・仲介を行っている。管理はリークスプロパティ単体で1400戸を受託。賃貸仲介店舗は「アパマンショップ」に加盟して1店舗を運営する。
リークスプロパティ本社外観。JR東海関西本線富田駅から徒歩約10分の場所にある
リークスプロパティのグループインに伴い、JPMCから星野直樹氏がリークスプロパティの代表として出向。元々社長に就いていた志水真実氏は常務に着任した。
新体制の下、まず現場社員の業務負担軽減に着手。JPMCで活用する業務管理システムをリークスプロパティにも導入。同システムを通じて、従業員が会社共通のメールアドレスを使用するようになった。それにより顧客からの問い合わせへの対応状況が確認できるため、休暇中の社員宛てに入居者やオーナーから連絡があった場合でも、担当者以外の社員が対応可能になった。
志水常務は「個人で業務を抱え込まない体制になったことで、社員たちも安心して休みを取れるようになった」と話す。
上場企業であるJPMCのグループ会社となり、経営がより安定することへの安心感が得られている旨のコメントをオーナーから受けることもあるという。
志水氏が承継推進 2000年以前から提携
元々、リークスプロパティは「J'sパートナー」に加盟しており、JPMCと20年以上の付き合いがあったことでM&Aの話が持ち上がった。J'sパートナーは、JPMCが加盟企業の管理物件を借り上げ、加盟企業はオーナーに対して、JPMCを通じ賃料収入の保証が行える仕組みだ。
リークスプロパティが会社の売却を検討し始めたのは22年ごろ。同社の前々社長が引退を考え、売却先候補を数社選定した。異業種企業への売却なども検討したが、同業種ですでに会社間の関係が構築されているJPMCへの売却を決定した。24年6月に志水氏が代表に就き、事業譲渡に向けた準備を進め、同年12月に事業承継が完了。星野氏が4代目社長に就任した。
入居率改善に着手 「クロスセル」狙う
星野社長は「新体制の下、リークスプロパティはJPMCの持つノウハウを生かしたり、JPMCのグループ会社とも連携を深めたりしながら業績向上を目指す。足元で着手するのは、管理物件の入居率改善とクロスセルの強化の二つだ」と語る。
一つ目の入居率向上策については、約11万戸を運用し収益改善を行うJPMCのノウハウを、リークスプロパティの管理物件で生かしていく。
リークスプロパティが管理する物件の入居率は、M&A直後の24年12月時点で88.3%。それを、東京都・大阪府などといった都市部の管理物件と同水準の98%まで引き上げたい考えだ。
実際に、半年ほどでリークスプロパティの入居率は5.3ポイントアップの93.6%まで向上。25年末までに95%を目指す。
二つ目のクロスセルの強化は、JPMCのグループ会社で家賃債務保証会社のみらい少額短期保険(東京都千代田区)と連携し、実現していきたいとしている。
クロスセルとは、顧客が購入を検討している商品・サービスのほかに、別の商品・サービスを提案し、併せて購入してもらうことで売り上げ単価を上げる販売戦略のことだ。
賃貸仲介時に、賃借人に対しJPMCグループの家賃債務保証会社を利用してもらうことなどで、収益向上につなげる。
(國吉)
(2025年7月21日20面に掲載)




