大阪・関西万博(以下、大阪万博)の開催に伴い、マンスリー物件が好調だ。1カ月以上の滞在が必要となる大阪万博関係者が、ホテルよりも安く住むことができる施設として需要が高まっている。中には家賃が日額3000円上昇したうえで高稼働となる事例も見られる
賃料上昇、55%の増収にも
日額換算3000円増
大阪万博の開催に伴い、会場の建築に関わる従業員や、会場スタッフの宿泊所として、マンスリー物件の需要が高まっている。大阪万博の開催期間は2025年4月13日~10月13日の6カ月間。大阪市此花区に造られた人工島・夢洲(ゆめしま)が会場だ。
全国で6000戸のマンスリー物件や賃貸物件を運営するリブ・マックス(東京都港区)は、大阪万博に合わせて関西エリアでの供給戸数を増やし、単価もアップ。それにより、開催直前の3月から7月までの期間は、24年同期比で増収につなげた。
同社は運営する6000戸の物件を、需要に合わせて一般の賃貸物件、もしくはマンスリー物件として提供する。
大阪万博開催による需要増を見込んで25年3月ごろから大阪府を中心とした西日本エリアのマンスリーの戸数を200戸増やしていき、7月には1000戸をマンスリー物件として運営。そのうえでピーク時の4月の稼働率は24年同期比と同水準の88%で推移しているという。
需要の伸びに伴い日額賃料も向上。4月には平均3000円ほど上昇し、日額8000~9000円で募集したうえでも高稼働となった。
宿泊期間は8カ月が多いという。6カ月の会期中のほか、開催前の準備や、終了後の撤収作業などで前後1カ月も予約されている。
これらの理由から、3~7月の関西エリアでのマンスリー事業売り上げは24年同期比で155%に増加した。
沖野真也執行役員は「会場の最寄り駅である大阪メトロ中央線夢洲駅まで直通で行ける中央線沿いの物件や、会場まで送迎するシャトルバスが運行されている大阪メトロ御堂筋線梅田駅、なんば駅の人気が高かった」と話す。
会場の建設を行う作業員や、各国のパビリオンのスタッフが宿泊し、それらを派遣する法人と契約した。23年ごろから問い合わせがあり、24年には契約を締結。早期に動いていたことで、商機をつかむことができたという。
1社から50人派遣
ステラーフォース
東京都渋谷区
有村政高CEO
マンスリーマンションの運営を行うステラーフォース(東京都渋谷区)は、大阪万博会場周辺の駅における物件の稼働が増えたと感じている。同社で扱う案件の中には、1社から会場に派遣するスタッフ50人分の部屋のあっせん依頼があったという。
同社はマンスリー物件の手配から契約までを行うことができるサービス「MONTHLY BANK(マンスリーバンク)」を運営する。同サービスを通して企業からマンスリー物件の紹介依頼を受け、対象エリアで空室となっている賃貸物件をマンスリー物件として企業に提供する。提供する際にはオーナーから物件を借り上げ、ユーザーに転貸する形をとる。
運営するマンスリー物件は常時3000戸程度だという。そのうち、大阪府を含む関西エリアにある物件は1割にあたる300戸ほど。
大阪万博会場付近のマンスリー物件の稼働が増えたのは25年1月ごろからだ。特に顕著なのは大阪メトロ中央線弁天町駅周辺で、マンスリー物件として稼働しているものが100戸ほど増えた。弁天町駅から会場の最寄り駅である夢洲駅までは電車で13分。
入居は単身者がほとんどで、提供した物件の専有部も20~25㎡の1Kやワンルームだ。
50人分の稼働につながった案件は、会場やパビリオンを建設する従業員が寝泊まりするマンスリー物件の紹介依頼だった。宿泊希望期間が1年間であったことから、同社からの提案で結果的に通常の賃貸物件への入居となった。同案件は、開催前の建築のほか、会期後の撤収作業にあたるために1年間住むことができる物件を探していた。
「マンスリー物件は、ビジネスホテルと比較されているとみている。それより少しでも価格を抑えることで、選ばれる物件になる」(有村政高CEO)
反響数最大160%に
Weekly&Monthly
北海道札幌市
黒木健次郎社長
マンスリー物件のポータルサイトを運営するWeekly&Monthly(ウィークリーアンドマンスリー:北海道札幌市)は、大阪万博開催の影響で、ポータルサイトの反響件数が24年同期比で最大6割増となった。警備スタッフなどをあっせんする、国内の派遣会社からの問い合わせが多かった。
同社はポータルサイト「W&M(ウィークリーアンドマンスリー)」を運営する。全国のマンスリー物件約10万2700件を掲載している。その中で大阪府内に所在する物件は4607件(7月30日時点)だ。
大阪万博による需要は、反響件数のほか日額賃料の上昇、掲載物件の稼働率の高まりなどから感じられるという。
ポータルサイトにおける問い合わせは1月ごろから見られるようになり、大阪万博開催直前の4月まで問い合わせは続いた。反響のピークは2月だった。
賃料は日額1300円ほど上昇。これまでは平均で日額4000円ほどだったのが、5300円前後で成約している。契約期間は2カ月程度が多いという。
黒木健次郎社長は「問い合わせ元は国内の派遣会社だ。大阪万博開催時のオープニングスタッフや警備員などの派遣スタッフが寝泊まりする物件の手配のため、同社に問い合わせる事例が多かった」と話す。
(國吉)
(2025年8月18日1面に掲載)





