日本M&Aセンター、不動産業M&A仲介が堅長

日本M&Aセンター

管理・仲介業|2025年08月20日

後継者不在や競争激化で

 M&A(合併・買収)仲介大手の日本M&Aセンター(東京都千代田区)は、不動産会社のM&A仲介を安定的に受託。幅広い業種の仲介件数を伸ばしていく中で、不動産業の案件も増やす方針だ。

 同社の2025年3月期の成約件数は、通期で1078件。そのうち6%程度にあたる約60件が不動産会社の案件だった。売り手企業が不動産会社となるM&Aの成約件数は、14年度から20年度にかけて約4.5倍まで伸び、以降も安定的な件数を維持する。

 不動産業の案件で成約が多いのは、東京都を中心とする1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)。譲受企業のニーズについては、資産性が高いエリアを商圏とする企業の引き合いが多い。譲渡企業の売上高のボリュームゾーンは3億〜5億円だ。地方をメイン商圏とする譲渡企業でも、売上高が10億円以上など一定の規模があれば、成約の可能性は十分にあるという。

 譲渡の理由として最も多いのは、経営者の高齢化や後継者不在による事業承継。次いで、市場競争の激化に対応する目的が挙げられるという。特に地方では、小規模な不動産会社が乱立し競争が激しさを増す中で、事業譲渡を考える経営者が一定数いるとする。業種の組み合わせでは、不動産開発・売買会社による不動産管理・仲介会社のM&Aが目立つという。企業情報部の宮﨑乃輝氏は「物件の仕入れや顧客基盤において、シナジーを期待するデベロッパーなどが多い」と話す。

 同社の強みは豊富な成約実績にある。1991年の創業以来、累計1万件超のM&A仲介を行ってきた。長年の実績で培われた金融機関などとのネットワークや、データべースの蓄積、約700人の専門コンサルタントによるマッチング力で、顧客の信頼を獲得してきたとする。

 取引におけるリスクチェック体制の強化にも取り組む。受託時の反社会的勢力チェックに加え、基本合意や最終契約時には譲り受け企業の資力、スキームの妥当性を審査。資力やノウハウが不足する譲り受け企業を排除できるよう審査体制を厳格化している。「不動産業界でも、後継者不在による譲渡ニーズは依然として高い。人材不足を背景に、M&Aを選択する企業も増えている。今後も安定的に実績を積み上げたい」(宮﨑氏)

(2025年8月18日15面に掲載)

おすすめ記事▶『アーキテクト・ディベロッパー、管理会社のM&A加速』

検索

アクセスランキング

  1. 大和ハウス工業、物件大型化 面開発に注力

    大和ハウス工業

  2. 不動産適正取引推進機構、宅建士試験24万5000人が受験

    一般財団法人不動産適正取引推進機構

  3. 大阪民泊、万博後も需要堅調

    matsuri technologies(マツリテクノロジーズ),REAH Technolo gies(リアテクノロジーズ),DRILL(ドリル)

  4. 西田コーポレーション、訪問介護事業を開始

    西田コーポレーション

  5. 東急不動産、多頭飼育可能賃貸を竣工

    東急不動産

電子版のコンテンツ

全国賃貸住宅住新聞からのお知らせ

お知らせ一覧

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ