不動産クラウドファンディング(以下、不動産クラファン)のプラットフォーム「CREAL(クリアル)」を提供・運営するクリアル(東京都台東区)が、4月28日、東京証券取引所グロース市場に上場した。少額からの出資を可能にし、高額不動産への投資の間口を広げ顧客を獲得。ファンド組成手数料や売却益などで売り上げを伸ばす横田大造社長に、成長戦略を聞いた。
商品種類の豊富さ強み
売上前期比48%増
同社は不動産クラファンのプラットフォームであるCREALを通して、一般の投資家向けに高額不動産への投資機会を提供する。投資対象の不動産が幅広く、オンライン上で少額投資が可能なサービスとして、ユーザーの認知度を高めてきた。
サービスを開始した2018年から22年3月末までの累積ファンド組成数は56件、累計調達金額は152億円を突破した。案件数が増加したことによりファンド組成手数料や、運用後の不動産の売却益が伸び、22年3月期の売上高はグループ合計で約105億8100万円。21年3月期比で48.2%増。経常利益は同142.6%増の約2億5600万円となった。
同社では、取り扱う不動産や顧客層に合わせて、3本の事業の柱を持つ。一つ目は、前述のCREAL。二つ目が、一般投資家向けの投資用区分マンション販売をメインとした「CREALPartners(パートナーズ)」。三つ目は機関投資家や富裕層向けに1棟ものの収益不動産を販売する「CREALpro(プロ)」だ。
メインサービスであるCREALでは、不動産特定共同事業法に基づき不動産小口化商品を組成し、投資家から資金調達を行う。対象不動産は3億~10億円規模の賃貸住宅やホテル、保育所などで、平均利回りは3~8%。一口1万円から出資可能で、運用期間は4カ月~2年間だ。会員は22年3月末時点で約2万8000人で、この1年間で約8000人増えた。出資者層は30~50代が7割と最も多く、1件あたりの平均出資額は約30万円。リピート率は8~9割にのぼる。
投資家を獲得できている理由の一つに、横田社長は「不動産の種類の豊富さ」を挙げる。「他社ではワンルームマンションなどが主流だが、当社では賃貸住宅のほか、学校や老人ホーム、物流施設までと幅広い不動産を取り扱っていることが投資家へのアピールになっている」(横田社長)
物件の仕入れはデベロッパーからの紹介が多い。メインで取り扱う3億~10億円の不動産は、一般投資家が取得するには高額だが、機関投資家にとっては規模が小さく買い手が見つかりにくい。それを同社で取得し、CREALのファンドとして運営するため、デベロッパーにとっては同社に案件を紹介することで出口が確保できる。
年90億円の案件計画
現在のサービスは、横田社長の経歴に由来する。横田社長は11年に新生銀行で、当時では目新しかった老人ホームなどを投資対象としたヘルスケアREIT(リート:不動産投資信託)の企画に携わった。
横田社長は「ヘルスケア物件の規模は小さく、配当金がほかのファンドと比較し少ないため機関投資家からの出資を得ることが難しかった」と振り返る。そこでターゲット層を機関投資家から一般投資家へ切り替え、クラファンで出資を募る現在の事業の開発に至った。23年3月期は1年で約90億円のファンドの組成を目指す。
(2022年6月6日20面に掲載)





