実際に起こったカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)への不動産会社の対応や、そこでの学びについて紹介する。フレンドホーム(埼玉県幸手市)は、従業員保護のために会社として毅然(きぜん)とした態度を取る方針だ。カスハラがひどくなったオーナーと話し合いを行ったが、態度を改めなかったため管理の解約に至った。
疑わしきは報告、判断は役員
フレンドホームは幸手市を中心に1500戸超を管理する。従業員の心理的安全性を考え、カスハラを行う管理オーナーとの契約を解除した同社の事例を紹介する。
Aオーナーから管理を任されたのは2023年9月のことだった。カスハラが行われるようになったのは、翌年春ごろ。物件で入居者とAオーナーの間でトラブルが起こったことから始まった。仲裁に入った担当者に対し「謝罪に××の菓子折りを持って来い」といった要求を行うなどの態度から、同社はAオーナーに違和感を覚え始めた。
Aオーナーの物件の宅配ボックスの鍵を退去者が持って行ってしまい、同社が新しい鍵に交換するということがあった。オーナーは「元の鍵のメーカーと違う」などの難癖をつけた。早朝、深夜に連絡をし、時には拘束時間が2時間、3時間に及んだ。加えて、女性担当者にセクシャルハラスメントにあたる発言をした。
24年の夏ごろに、フレンドホームの鎌田康臣社長はAオーナーと面談の場を設けた。これまで従業員から報告を受けた内容をAオーナーに確認。「ビジネスパートナーとして付き合っていけない」と管理解約の旨を伝えた。その後、Aオーナーから「管理はやめないでほしい。悪いところは改める」との連絡があったため、管理は継続した。
だが、Aオーナーのカスハラ行為は改善するどころか悪化した。
10月、Aオーナーの担当を男性に切り替え、電話で管理を解約することを通知した。以降の連絡は新しい担当者のみにすることと、同社側はすべて文書で対応する方針を伝えた。
管理解約直後、SNS上で同社への否定的な投稿やコメントが続いたため、ブロックとSNS運営会社への通報を行った。
25年3月には、「セクハラ扱いされた」といった内容で名誉毀損(きそん)に対する金銭の請求書が郵送されたが、弁護士を介して対応。以後、Aオーナーからの連絡はない。
鎌田社長は「カスハラの疑いがある場合には、すぐ上司に報告・相談をするよう従業員に周知している。カスハラに該当するかは役員が判断する。従業員に対しては、一人で抱え込まずに報告してくださいと、朝礼などの場で伝えている」と語る。
「責任はすべて経営者が取る。自分たちで判断をして状況を悪化させると経営側の取る責任が重くなる。早めに言ってもらったほうがこちらも楽」といった説明をしたという。
相手方の対応によっては、訴訟などの法的な措置が必要になることを想定。同社は、Aオーナーとの通話の録音や「LINE」メッセージのスクリーンショットの保存など、カスハラの証拠を集めるよう、社内に周知を行った。
(2025年12月15日4面に掲載予定)




