福島県双葉町は7月14日、避難指示解除の方針を発表した。8月30日午前0時に双葉町を含む特定復興再生拠点区域の避難指示が解除される。解除後は、同エリアでの居住が可能になる。
町役場関係者向け賃貸提供
2011年3月11日に発生した東日本大震災における原子力発電所の事故の影響で、双葉町には避難指示が発令され帰還困難区域となっていた。
今回避難指示解除の対象となる特定復興再生拠点区域は、双葉町を含む福島県内の六町村。同区域は立ち入り規制緩和区域とも呼ばれ、除染活動が進み、放射線の線量が低いエリア。これまで人の立ち入りは自由だったが、居住はできなかった。
避難指示解除に向け、準備は段階的に進められてきた。双葉町においては、22年1月に始まった準備宿泊制度により、所有する住宅の清掃などを目的とした立ち入りが行われていた。この際、指定のホテルに宿泊し一定期間の滞在が可能だった。
双葉町に賃貸住宅を所有する大沼勇治オーナーは「30年以上は帰れないと思っていた。震災から11年5カ月での避難指示解除は想像以上に早く感じる。併せてアパートの稼働再開にも動き出しているが、入居者の見込みはやってみないと分からない状況。目に見えない放射能への不安が気がかり」と話す。
同町は、9月5日より双葉町役場の新庁舎での業務開始を予定。帰還意向のある住民をフォローしていきたいという。
稼働を予定する大沼オーナー所有のアパートは、2棟6戸。8月30日の再開を目指し、修繕の手配などを進めている状況だ。入居者ターゲットには、町役場関係者や復興関係者、また時地元住民で持ち家を解体してしまった人や、双葉町で新たに事業や商売を開始したい人を想定している。
(2022年8月1日・8日2面に掲載)