高齢者・子育て世帯の孤立解消

アドミニ

管理・仲介業|2026年03月27日

アドミニ 影山 真由美 社長

 大阪府で6300戸を管理するアドミニが、ルーツを持つ大阪府豊中市で高齢者や子育て世帯の孤立という地域の問題の解決に挑戦している。影山真由美社長は、グループ会社との連携を生かした取り組みを模索する。

見守りサービス、交流施設企画

シニア用プラン 連携サービス多数

 アドミニは、地域の高齢者が抱える問題を解決することを目指す。そのため2023年に豊中市でスタートしたのが「豊中プロジェクト」だ。24年からは、高齢者の見守りと生活サポートをパッケージにした「アドミニ・シニアサポートクラブ」を提供する。メインとなるのは、開閉センサーを冷蔵庫などに設置するタイプの見守りサービス「ミマモリオ・プラス」。丸1日以上動きが検知されない場合には、アドミニの社員が駆け付ける。

案内チラシ

アドミニ・シニアサポートクラブの案内チラシ

 高齢者の困り事を解決するための提携サービスを多く用意している点も特徴の一つ。提携サービスには、体の機能が弱ってきたときのための訪問介護・訪問看護、介護ベッドなどの介護用品のレンタルなどがある。ほかに施設に移動することになった際の、有料老人ホームやグループホームの紹介、引っ越し、不用品の回収といったサービスも揃える。

 提携サービスのほか、不動産を所有している人の場合には空き家管理や土地・建物の有効活用の提案といったサービスをアドミニが提供する。アドミニ・シニアサポートクラブの登録料は1万1000円、月額利用料が単身タイプで3960円、ファミリータイプで4180円(いずれも税込み)となる。

医療・介護グループ会社と連携

医師向け営業源流 医療系誘致に強み

 介護や看護関連の提携サービスを用意できるのは、介護・医療事業を行うグループ会社や協力会社を持っているためだ。アドミニのグループ会社には全国で90店以上の薬局を運営するサエラ薬局、協力会社には有料老人ホームの運営を行う社会福祉法人などがある。

 アドミニは元々、開業医が所有する投資用アパートの管理のために設立された。1977年、豊中市で創業した会計事務所・日本経営は、開業医向けの営業を行っていた。開業医は自身が病気やけがで働けなくなった際に収入が途絶えるリスクがあるため、日本経営は安定収入を得るための不動産投資を勧めていた。日本経営の顧問先が購入したアパートやマンションの管理を行うために88年に設立されたのがアドミニだ。現在でも、同社が管理する物件のオーナーの約半数は医師だという。

 こうしたルーツから、アドミニはクリニックの設計・施工や誘致に強い。医療モールのほか、23年には子育て応援賃貸住宅「hatt(ハット)緑地公園」を企画・設計した。同物件には、一時預かりを行う保育室や子どものための遊び場、訪問看護、薬局などを併設。

hatt緑地公園

hatt緑地公園。子どものためのプレイスペースと交流スペース

 豊中市は転勤族が多く、子育て世帯同士のコミュニティーがつくりづらい環境だった。そんな状況を知り「地域に恩返しがしたい」と考えていた物件オーナーが子育て賃貸を発案。この思いを受けてアドミニは管理を行っている。

 「オーナーが持つ地域への思いは、私たちも共有しているものだ。グループ会社やオーナーの力を合わせて、子育て世帯の孤立という地域の課題を解決できることに気付いた」

つながり創出へ 物件購入も検討

 アドミニが高齢者の受け入れに向き合うようになった背景として、母体の会社の創業の地である豊中市の高齢者の孤立問題があった。文教地区で教育熱心な土地柄であるために、子どもが進学で東京都など遠方に行き、そのまま就職して帰ってこないケースが多いという。地域に残った高齢者が高齢者同士で交流しようという意識は薄い。「地域の老人会は出席者が少なく、崩壊状態にあると聞く。孤独な状態にある高齢者は多いだろう」

 管理物件の入居者の高齢化も進んでいる。65歳以上の単身世帯は185戸、65歳以上の人が契約者であるファミリー世帯は350戸。管理物件全体の1割まではいかないものの、高齢者の孤独死が増加傾向にある。25年は7件の孤独死が発生したという。

 影山社長は、入居者の孤独死を防ぐには、その人の年齢だけでなく健康状態や外部との交流の有無を知る必要があると考える。

 26年4月から、管理物件に20年以上住む単身者500人ほどを対象に、健康状態や外出の有無、困り事はないかといったアンケートを行う予定だ。さらに、そのうち豊中市に住む80人については、アドミニの社員が訪問によるヒアリングを行うことにしている。

 さらに、死後事務委任契約や遺言書作成サービスを提供するため25年9月、NPO法人ふらっとサポート豊中を設立した。影山社長は「入居者はもちろん、オーナーにも安心してもらえる体制を整えていく。そのために高齢者入居対策を積極的に進める管理会社や居住支援協議会などに話を聞きに行き、情報を集めている」と話す。

 アドミニが今後企画しようと考えているのは、コミュニティー型の高齢者専門賃貸住宅だ。カフェやクリニック、訪問介護施設などを併設し、地域の交流や医療の拠点とすることを目指す。それに向けて豊中市内で購入できる物件を探しているのだという。「多くの高齢者は住む場所が制限されてしまっているうえ、中には落ち着けるはずの住まいで『世話をかける』と萎縮している人もいる。そうした人たちが伸び伸びと過ごせる環境を、豊中からつくっていきたい」

(中村)
(2026年3月23日20面に掲載)

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