不動産会社向け業務支援システムを開発・提供するスマサポ(東京都中央区)は1月27日、北海道の地場大手管理会社である常口アトム(北海道札幌市)とビッグ(同)の2社に『スマサポ内覧サービス』の提供を開始したことを発表した。地元の大手管理会社2社が同じサービスを活用することで、札幌市を中心に北海道での賃貸仲介事業における内見時の鍵の受け渡しが加速的にIT化する。繁忙期の北海道は、積雪によって車移動の時間が普段の2倍程度かかるため、鍵の受け渡しが不要になれば大幅な業務効率化につながる。
常口アトム、ビッグが内覧サービス導入
『スマサポ内覧サービス』はスマートフォンにダウンロードしたアプリケーションを使って、ドアに取り付けたキーボックス『スマサポキーボックス(SKB)』を解錠し、鍵を取り出せる仕組み。SKBの中に入っている鍵はチェーンにつながっていて無断で持ち出したり、返却忘れを防ぐことができる。『スマサポ内覧サービス』は重工メーカー大手IHIグループのIHI運搬機械(東京都中央区)と共同開発した。エントランスのオートロックを解錠する『スマサポキーエントランス(SKE)』もある。
約5万7000戸管理の常口アトムは2019年12月にSKBを150台、SKEを115機導入。札幌市内の管理物件に設置済みで、函館でも設置を進めている。これまでは仲介店舗で鍵を受け渡すケースもあったが8割はドアジョイナーを利用。ただドアジョイナーを取り付けていてもエントラスのオートロックを解錠する鍵を受け渡す必要があった。そのため、SBEの導入を優先的に進めている。常口アトム営業推進部の杉本健太朗部長は「鍵の管理方法を見直す中で、安全性とコスト面が決め手になった。加えて誰がいつ内見したか履歴で確認することができ、内見時間やどの仲介会社が多く内見しているかも確実な数字で把握できる」と語る。
約2万3000戸管理のビッグは1月10日に、SKBを285台、SKEを45機導入。まずは札幌市内の管理物件に設置する。同社では最寄りの仲介店舗や物件で鍵を管理していた。「貸し出し記録をつけていたが、いつ内見したか、本当に内見したのかまでは確認できない。貸し出した鍵が速やかに返却されているかなど鍵の管理を、忙しい店舗に任せるのは不安な面があった」と担当者は導入した理由を語る。