親子、親族の関係が希薄になったと感じるとともに、過保護すぎる親たちにも出会います。
今回のケースは、40代男性の賃借人。連帯保証人は父親でした。
賃借人は結婚のために2DKの新居を契約。楽しいはずのスタートだったでしょうが、なぜか賃借人が単独で居住し、早い段階で滞納が始まりました。
任意の明渡交渉を試みましたが、賃借人は書類を受け取っても電話をしても、コンタクトが取れません。仕方なく連帯保証人に連絡をしてみると、意外な回答が返ってきました。
「親だから、息子が可愛い。いくら支払えばいいですか?」
父親は滞納の事実を知らなかったとのこと。淋しそうに、結婚話が破談になったことを教えてくれました。賃貸人の代理人とすれば、家賃が支払われれば問題ありません。ただ肝心なのは、継続的に支払い続ける体力が賃借人側にあるかどうかです。
父親は年金生活。貯金を投げ出して今回の滞納分を支払うと言います。賃借人がこのまま家賃を支払わなければ、近い将来にまた同じ問題が生じるはず。その時、父親はどうするのでしょうか。
私はなぜ滞納状態なのか、改善される見込みがあるのかを賃借人と話し合い、その上で本人に責任を果たすよう促していきたいと思いました。
賃借人と連帯保証人、そして私どもが揃った場で、滞納している息子は横柄な態度でした。口から出るのは、世に対する不平不満のみ。まるで幼子が身勝手に振舞うのと同じでした。
「リストラにあっても親から経済的援助がなかった。それで結婚は破談になった。無職だから家賃を支払えないし、連帯保証人の父親が払えばいい」
耳を疑うような賃借人の言葉。自分が契約当事者だという責任は、まったく感じていないようです。生活費はパチンコで稼いでいるとのこと。それでも車を乗り回し、部屋の中は高額の電化製品が揃っています。再就職先を探すこともせず、頻繁に親からお小遣いをもらっているようでした。
「親だから、息子が可愛いんです......」
高齢の父親はそう繰り返し、何とか息子がこのまま部屋に住み続けられるように懇願します。当の本人は、滞納していることを悪びれてもいないのに。
最終的に連帯保証人が全額の滞納分を支払い、賃借人は狭い部屋に移り住んで行きました。「可愛い」と言いつつも、息子が自分の足で歩むことを邪魔しているかのような愛情。この日本にニートが増える理由が、少し分かった気がしました。





