老朽賃貸物件の新たな活用法が登場した。総合地所(東京都港区)は、築26年全22戸の賃貸マンションを購入し、入居中の物件はそのまま賃貸しながら、空いている部屋については、実需向けの分譲マンションとして売却するというユニークな取り組みをスタートした。
建物が立つのは、東京都世田谷区等々力。真向かいには等々力小学校が立つ好立地で、新築間もないから入居し続けているファミリーもいるほどの人気物件。名称は「リヴィラ等々力」。同社は今年3月、この物件を所有する個人から土地・建物を購入。その後、建物診断を行った上で一棟丸ごとリノベーションを施し、木目調ルーバーフェンスやグリーンウオールなどを新設した。
空室中の4部屋(当時)から順次売却している。デザイン会社のリビタと提携し、一室ごとのカスタマイズリフォームも提案。購入者の好みに合わせたリフォームを行っており、これが好評。9月1日の販売開始からすでに6戸が売却済みだ。
売主は総合地所と京阪電鉄不動産の2社。総合地所は、「賃貸中の物件を売却するというのは、分譲マンション事業と賃貸管理、双方の事業を行ってきた当社のノウハウを生かした第三の事業として位置づけています。購入後、活用法についてはさまざま検討しましたが、立地や建物の概要を考えたとき、分譲マンションとしての売却がもっとも効果的と判断しました」とコメントした。
以前の所有者は高齢を理由に建物の売却を検討していたとのことで、今回の実例をもとに、賃貸オーナーに対する新しい出口戦略として提案を強化していく考えだ。