入居拒否感半減の目標値に業界から疑問の声
高齢者、子育て世帯、障害者の入居に拒否感を持つ家主の割合を半減する―。
この情報に業界内で困惑の声が上がっている。
4月17日、国土交通省の安心居住政策研究会が公式発表した「安心居住目標」の中に掲げたものだ。
2010年の日管協の調査では入居に拒否感を感じる家主の割合は、高齢者に対しては59.2%、障害者は52.9%、子育て世帯は19.8%だった。
これに対して同研究会では2020年度までの到達目標として、高齢者と障害者は30%以下、子育て世帯は10%以下と設定。
国交省の同研究会担当者は、「この目標値を設定した根拠は特になく、以前から継続している居住支援協議会の活動を鼓舞するためのもの」と話した。
具体策の伴った実現可能な目標ではないという。
一般社団法人高齢者住宅財団(東京都中央区)に話を聞くと、「入居拒否の割合を下げることには賛同するが実際どんな手法でやるのかがわからない。入居後の対策が必要。家賃債務保証、亡くなった後の清掃や遺品整理の費用の対策を打ち出さないと目標の実現は厳しいのでは」と懐疑的だ。
家主側には死亡後の費用を気にする人が多いと実感している。
賃貸管理会社にとっても高齢者の入居は課題のひとつだ。
積極的に受け入れていない会社も多い。
特に単身世帯の場合、起こりうる病気や孤立死、滞納などのトラブル対応のリスクを回避したいという思惑がある。
だが、今後の将来を鑑みるとそうはいっていられない。
内閣府は、国内の人口は減少していく一方で、一人住まいの高齢者は増加していくという推計を出している。
2010年の独居高齢者は479万1000人だが2035年には762万2000人まで増加すると予想。
今後、空室が増加していくとなれば、高齢者の受け入れ体制を整えることが賃貸業界に必須となることは間違いない。
長栄(京都府京都市)は、昨年2月に福祉関係のNPO法人と連携し、見守りサービスをスタートした。
このサービスの利用を70歳以上の単身世帯の入居条件にしている。
加藤鉦一オーナー(愛知県名古屋市)は、学生向けだったアパートをニーズのある高齢者向けアパートにリニューアルした。
見守りを兼ねた配食サービスを導入し満室経営を続ける。
一部、民間が先導を切って実践している状況だ。





