働き方改革関連法施行迫る
法律・制度改正|2019年02月04日
残業時間削減に動く不動産会社
賃貸業界は繁忙期の日々の業務に追われる時期だが、4月1日には働き方改革関連法施行を控え、不動産会社の残業時間や休日労働の削減が急務だ。
すでに動きだし効果を上げる不動産会社も出てきている。
4月から大企業を対象に働き方改革関連法が施行される。不動産会社の場合、資本金が5000万円より上か、従業員が100人より多いと該当する。
同法では、残業時間の上限を年間720時間、単月で100時間未満までと定めるほか、年間5日以上の有給休暇取得を義務付ける。
違反により6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
中小企業は1年間の猶予を与えられ、2020年4月から同法の対象になる。
残業時間の問題は不動産会社にとってひとごとではない。
厚労省では18年8月に全国の長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を発表。監督指導を行った2万5676の事業場のうち、違法な時間外労働が発覚したのは45・1%の1万1592事業場だった。
同省の18年6月の発表では、17年6月~18年5月の期間中に労働基準法違反で不動産会社3社が社名を公表されている。
一方でいち早く残業時間の削減に取り組み、効果を上げている会社もある。キーワードは、外部委託も含めた分業化とIT化だ。
53万5661戸を管理する大和リビング(東京都江東区)は、段階を踏んで分業化を進めてきた。
14年に入居者対応のコールセンターを開設。16年には経理事務を担当するコールセンターを新設し、18年には工事の受注業務を行う拠点も設置した。
営業所の現場担当の業務を軽減したことにより、14年度から17年度までに月平均9時間の残業削減となった。