フリーランスの賃貸契約を支援
その他|2020年03月02日
企業に就職せずフリーランスとして仕事をする人の賃貸契約支援をする企業が出てきた。民間企業の調査によるとフリーランス人口は現在約1000万人で、国内労働人口の16%を占めるほど増加している。終身雇用の考え方が薄れてきている現代において、多様な働き方が可能なフリーランスは、今後ますます増えていくと予想される。フリーランスの賃貸契約において障壁となっている収入が不安定なイメージや、社会的信用力の低さをどのように補完するのか、各社の取り組みを取材した。
専用の窓口や家賃債務保証会社が登場
フリーランスが賃貸住宅への入居を断られる理由は大きく3つある。1つ目は家賃の支払い能力があることを証明する手段が限られていること。確定申告書や源泉徴収票で過去の収入金額を証明するが、フリーランスになって1年たたない場合は、証明する書類が得られない。準備できたとしても、書類上では経費が多く利益が残っていなかったり、借り入れをしている場合もある。2つ目はフリーランスに明確な定義がなく、「収入が不安定、滞納のリスクが高い」というイメージがあること。支払い能力を確認することなく、単にフリーランスというだけで入居を断られるケースもある。3つ目が入居審査に必要な手続きが煩雑になることを理由に仲介会社が対応しないケースだ。不動産会社は必要な書類の説明や確認を手間に感じてしまう。
こうした問題を解消し、フリーランスの入居を積極的に受けようとしているのは、全国で約10万戸の賃貸住宅『ビレッジハウス』を管理しているビレッジハウス・マネジメント(東京都港区)だ。2日、フリーランス専用の問い合わせ窓口を設置した。家賃債務保証会社を使用せずに、自社独自の基準で入居審査を行い、フリーランスの入居受け入れを強化する。同社広報担当者は「これまでも家賃滞納リスクが高いとされる属性の外国人や高齢者を受け入れてきた実績がある。当然、収入を証明する書類の提出は必要になるが、フリーランスであることを理由に入居を断りはしない」と語った。空室を減らすためにもフリーランスを積極的に受け入れたい考えだ。
フリーランス同士の協業をマッチングするサイト『TEAMKIT(チームキット)』を運営するLbose(エルボーズ:東京都渋谷区)は、不動産会社のSharePlus(シェアプラス:東京都新宿区)と提携し、フリーランスが首都圏で賃貸住宅を借りやすくなるキャンペーンを実施する。期間限定でSharePlusが「フリーランスであることを理由に対応を断らない」「仲介手数料は家賃の0・5カ月分」という条件で仲介する。
「今後は他のエリアの不動産会社の協力を得て期間や地域を広げていければ」とLboseの小谷草志社長は語る。「すでに対象エリア外に住むTEAMKITの会員から利用したいとの声が上がっている」という。