大東建託グループで119万戸超の賃貸管理を行う大東建託パートナーズ(東京都港区)は、2月25日からアマゾンジャパン(東京都目黒区)のサービスを導入し、オートロック付きの賃貸住宅での置き配に対応する実証実験をスタートした。
Yper、宅配バッグのニーズ拡大
対象は、同社で管理する首都圏のオートロック設備の入った賃貸住宅棟。アマゾンジャパンの『Key for Business(キーフォービジネス)』を使い、宅配ドライバーが専用の配送アプリ上で操作すると、建物のオートロックを解除できる。入居者の不在時には、玄関前などに置き配する。入居者は再配達の手配を行わずに済む。
大東建託パートナーズが全国で管理する賃貸住宅のうち、オートロック設備が入るのは、8669棟15万2596戸だ。6月末までの実証実験の結果に伴い拡大を判断していく。
スマートロックを開発するライナフ(東京都文京区)もアマゾンジャパン、ヤマト運輸(東京都中央区)と提携し、オートロック付きのマンションで置き配を可能にするサービスを発表したばかりだ。
簡易置き配サービス『OKIPPA(オキッパ)』を提供するYper(イーパー:東京都渋谷区)でも、賃貸住宅の対象物件が増えている。『OKIPPA』は、つり下げ式の簡易宅配バッグ。手のひらサイズに折りたたんで玄関ドアノブに簡単に取り付けられ、入居者の不在時などに宅配の担当者が、荷物を同バッグに入れて施錠する。16万世帯超で導入されている。
2020年5月から、同社のサービスの導入を認める集合住宅向けを『OKIPPA for 不動産』として入居者に紹介。対象となる賃貸住宅も拡大している。同社の内山智晴社長は「国土交通省より集合住宅共有部への条件付きでの置き配が可能との公式見解が出され、コロナ禍でインターネット通信販売の利用増加に拍車がかかったこともあり、20年4月の緊急事態宣言以降、不動産会社やオーナーからの問い合わせはコロナ禍前の約4倍に増えた」と話す。
置き配は、これまで法的な規制がなく、消防法の観点など、議論があった。19年から国交省が開催してきた『置き配検討会』の結果、20年3月に、検討会の内容を踏まえた『置き配の現状と実施に向けたポイント』を発表。消防法上は、有事に避難の支障とならない、少量または小規模の私物を暫定的に置く場合には、法的問題にはならないとみる、との解釈が記載され、一定のルールの下、置き配が認められることになった。
それを受けて、大手の管理会社でも置き配対応の動きが出てきいる。
(3月15日1面に掲載)
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