リノベーション成功事例特集①

エイムズ, アーキテック, ハッピーハウス, クラスコ

商品|2021年05月20日

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寝室にある収納の一部を在宅ワークスペースにした

 空室対策として物件の付加価値を向上するリノベーションを特集。在宅勤務用のワークスペースや充実した収納、住空間が安らぐ無垢材など、現代のライフスタイルに合わせた間取りや内装で家賃増額や入居者獲得に成功した事例を紹介する。

築31年が家賃2.2万円アップ

エイムズ、収納の一部をワークスペースに

 賃貸物件のリノベーションを強みとするエイムズ(東京都目黒区)は、築40年になるマンションの一室をリノベーションし、コロナ禍の影響で急増している在宅ワーク需要に対応した間取りへと変えた。施工費は575万円で、元々18万円だった家賃は周辺相場よりもやや高い22万3000円にアップした。

 同物件はJR山手線「目黒」駅から徒歩6分の場所にある8階建てSRC造。経年に伴い下落する賃料を再度上げるためにフルリノベーションを実施し、3DKだった間取りを2LDKへと変えた。入居者は工事中の4月半ばに決まった。

 リビングの天井は木目調のクロス、床はオークの無垢材フローリング、壁の一部は黒いモールテックスを使用。寝室の一角には同物件の目玉であるワークスペースを設けた。押し入れだった場所に机と棚を取り付け、ダウンライトとコンセントを設置。入居者は椅子を用意すればその場でパソコン作業など在宅ワークが可能となる。机の天板には撥水(はっすい)性能のあるメラミン材を用いており、汚れに強くメンテナンスがしやすい。

 松島力社長は「寝室のワークスペースはあえてシンプルなつくりにして閉塞感を軽減させ、入居者が自分好みにカスタマイズできるよう工夫した。コロナ下における引っ越し理由の一つに、在宅ワークスペースの確保をあげる入居者も多い。需要にマッチしたリノベーションを今後も提案していきたい」と話す。

 

アーキテック、デザイン性と機能性を重視

 関西でリフォーム事業を手掛けるアーキテック(京都市)はデザイン性だけでなく、機能性やメンテナンス性を重視した施工を行っている。

 1月にリノベーションした賃貸マンションの1室は家賃が2万2000円アップし、完成から1カ月以内に入居が決まった。大阪市淀川区にある築31年で、7階建てSRC造、間取りは和室のある2LDKだった。積水ハウス不動産関西が家主から借り上げている物件で、アーキテックとともにデザインを練り、新婚などDINKSの入居を見込んで、間取りを1LDKに変更した。和室だった部屋をダイニングとつなげ、家族がゆったりとくつろげる空間をつくった。壁面キッチンを対面式に変え、カウンターを設置。キッチンの天井を部分的に下げ、ダウンライトを設けた。

 内装は明るい木目柄と白色を基調にアクセントクロスを2カ所に採用。リビングの壁面にはグレーのレンガ調クロス、インターホンモニターがある壁を部分的にへこませたニッチには朱色のクロスで変化をつけた。

レンガ調や赤いクロスをアクセントにした内装

レンガ調や赤いクロスをアクセントにした内装

 和室の押し入れと洋室の収納スペースは、大容量のウォークインクローゼットに姿を変えている。中には小さな書斎のようなデスクワークスペースを設けている。可動式の収納棚や、本棚柄のクロスを採用し、さらに閉塞感がないように設けたガラスブロックから明かりが漏れて、狭いながらも居心地の良さを高めた。

ウォークインクローゼットの中につくったワークスペース。左側の壁は本棚の柄クロス

ウォークインクローゼットの中につくったワークスペース。左側の壁は本棚の柄クロス

 今回の改修では、玄関近くの洋室にエアコンを設置できない難点を克服した。洋室にはバルコニーがなく室外機を設置できないことから、腰高の窓にウインドファンを取り付けるしか手段がなかった。そこで、エアコンを洋室の扉の上に設置。壁や天井に配管し、冷媒管をリビングへ、排水管を洗面台の下へつなげた。配管のために壁を厚くしたり、排水溝から悪臭がしないように配管の接合部に逆流防止弁を付けた。さらに、メンテナンスしやすいように壁に点検口を設けている。

 水回り設備はキッチン以外に、トイレ、独立洗面台、ユニットバスも入れ替え、物件の付加価値向上を図った。

 

ハッピーハウス、無垢材でリノベーション 築21年でも付加価値向上

 上村建設グループのハッピーハウス(福岡市)では、無垢材を使用したリノベーションを初めて行った。リノベーションによる付加価値向上に注力する中で、デザイン性と快適性に優れた内装材として人気が高まりつつある無垢材の活用に挑戦。無垢材は温かみや調湿効果がある一方で、水に弱く、変形や変色しやすい特徴がある。テストマーケティングを兼ねて、グループ会社で所有している賃貸マンション『ベイシック大名』の2室のリノベーションで取り入れることになった。木材を厳選し、栗と桜を採用した。

 築21年の『ベイシック大名』は10階建て全60戸。場所は福岡市中央区で、市営地下鉄空港線「赤坂」駅から徒歩5分。中心部である天神に近く好立地な分、築古と新築が混在するエリアだ。

 リノベーションしたのは207号室と502号室の住戸だ。207号室は低階層のデメリットを解消する内装にした。42㎡の1LDKで、部屋全体の床に無垢材を使用。洋室の変形部分を生かしサンルームとして床のみに白いタイルを敷き、雰囲気を変えている。個室とリビングダイニングの境目はフラットで、3枚のスライドドアを開けると開放的に広く空間を使うことができる。スライドドアは透明なアクリル製で、閉めたときの閉塞感がない。個室を隠せるように、カーテンレールを設置している。502号室は35㎡の1DK。部屋全体が無垢フローリングで、カウンターキッチンとウォークインクローゼットを設けた。

洋室の変形部分を生かしサンルームとした207号室

洋室の変形部分を生かしサンルームとした207号室

 2戸はリノベーション完成後に入居が決まった。家賃は施工前が7万円台だったが、207号室を10万円、502号室を9万円に増額。入居対策課の砂田由美課長代理は「リノベーションによる物件価値の向上に取り組む中で、無垢材の活用に挑戦してみた。取り扱いが難しい建材だが、これまでの賃貸住宅にはない温かみのある住空間をつくることができた。入居者の反響を楽しみにしている」と語る。

カウンターキッチンを設けた502号室

カウンターキッチンを設けた502号室

 

クラスコ、FC加盟500店突破

 2012年からクラスコ(石川県金沢市)が展開しているリノベーションブランド『Renotta(リノッタ)』のフランチャイズ(以下、FC)加盟店数は、全国で509店舗になる。

 リノベーション事業を立ち上げたい不動産会社に、集客ツールや営業手法、デザインコンセプトや成功事例の共有など、システム利用や研修を通じてさまざまなノウハウを提供している。

 3種類のコンセプトリノベーションプランを中心に、オーナーへの提案の際には専用の収益計算システムを用いて税引き後のキャッシュフローシミュレーションを行い、オーナーにとって最適なリノベーションプランの提案を行うことが可能。

『Renotta Life』施工事例

『Renotta Life』施工事例

 FC加盟店を含めた施工実績は全国で6000室で、フルリノベーションプランの『Renotta Life(ライフ)』では、平均家賃上昇率が33.3%、工事期間中の成約率は33%の実績となっている。

(5月17日6面・7面に掲載)

関連記事▶【リノベーション成功事例特集[][]】


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