賃貸住宅の入居者間の騒音トラブルが、コロナ下以降急増している。元警察官による近隣トラブル対応サービス「mamorocca(マモロッカ)」を提供するレジデンシャルペイメント(東京都中央区)では、2020年7月~21年6月の相談件数が、前年に比べて倍増したことが7月にわかった。そのうち、4分の3が入居者間の騒音に関するもので、在宅比率の高まりが深く関わっているもようだ。入居者からの対応に苦慮する賃貸管理会社との契約も増え、6月末時点で受託件数は17万件になった。
相談の内容は「小さな子どもの声や足音がうるさい」「夜間の話し声が耳障り」といったものが大半だ。以前に比べて、必ずしも相談者を被害者と言い切れない案件が増えたという。「これまで容認されていた内容が苦情に発展するケースが増えた」と相談員の藤澤勇輔氏は話す。
「以前であれば、夜間の話し声に関する相談は『連日、飲酒をしながら深夜まで大騒ぎをしている』というものが大半だった。最近は、相談者に居室での騒音状況について尋ねると、生活音の範ちゅうに含まれると思われるものが多い」(藤澤氏)
特に都内や首都圏郊外の住宅地からの相談が多い。古い建物だけではなく、築後1年程度の新築建物の入居者からの案件も珍しくないという。
相談には元警察官のスタッフが対応する。防音のアドバイスや防音施工を実施する場合もあるが、相談者と相手方にお互いの理解を求める対話を通じて解決につなげるパターンが大半だという。
(8月2日3面に掲載)