大手住宅メーカーのミサワホーム(東京都新宿区)は、築32年になる自社保有物件の1階を有料の共用スペースに改修し1日にオープンした。新築の賃貸物件が多く競争率の高いエリアで、築古物件に付加価値を与え差別化を図りたい考えだ。
新築立ち並ぶエリアで差別化図る
物件名は「DeLCCS(デルックス)文京神楽坂」。東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅より徒歩3分の場所に位置するRC造8階建ての賃貸マンションだ。1階はテナントスペースで、2階から上が居住部となっている。居室数はワンルームが48戸、1LDKと3LDKが1戸ずつの計50戸。賃料は6万4000~12万円。入居者は20~30代の単身者がほとんどで入居率は85%だ。
今回、1階のテナントの退去を機にテレワークスペースの企画・運営を行うAnd Worker(アンドワーカー:東京都港区)主導の下、テナント部分を改修。504.5㎡ほどの空間をテレワークスペース、コーヒー販売のカウンター、法人契約で利用可能なワークスペースの三つに分けた。入居者や近隣住民が利用できる。
テレワークスペースには作業用の1人席を4席、複数名が着席でき商談も可能なソファ席を11席用意。また、通話やウェブ会議が可能なフォンブースや、喫煙室、コピー機も設置した。コーヒー販売を行うカウンターで商品を購入後、テレワークスペースでくつろぐことも可能だ。利用料金は1時間600円。同物件の入居者は正規料金の半額で利用できる特典を付いた。また法人契約で利用できるワークスペースは、登記登録も可能なため、スタートアップ企業が拠点として活用できる。
開発事業部の橋本雅史課長は、「最近では新築物件に共用スペースがあることは珍しくない。近隣住民の利用も可能とすることで地域交流を促進し、他物件との差別化を図った」と語る。
(9月13日2面に掲載)