エイチ・エス損害保険(東京都新宿区)は4月1日から家財総合保険「やさしいネッと」の販売を開始する。媒介代理店方式をとることで、窓口となる不動産会社の業務負担の軽減を図る。
通常の家財保険は不動産会社が締結代理店となり、保険の勧誘から契約締結や契約管理業務を行うが、「やさしいネッと」では媒介代理店という方式をとり、不動産会社の業務を保険勧誘等に絞り込んだ。契約受付の流れは、代理店が入居予定者に保険の勧誘・簡単な説明を行い、当該物件の所在地や構造などの情報を専用サーバーに入力する。そこで発行されたパスワードを入居予定者に渡す。同時に保険会社から入居予定者のメールアドレスに別パスワードを送る。入居予定者は自宅からパソコンで申し込み、クレジットカードで保険料を決済する。申し込み完了の翌日、エイチ・エス損保から代理店に連絡が入る。不動産会社は契約完了を確認した上で鍵の引き渡しができる。インターネット設備がない場合には書面で申し込みを受け付け、コンビニ決済で対応する。
エイチ・エス損保では、家財の金額に応じて3つの保険プランを用意する予定。
「代理店の募集方法から申し込み用ホームページの作りこみまで、極力"やさしい"ものを目指しました。将来的には、契約更改の際から当社の商品を利用するなどの方法も提案していきたいと考えています」(松尾昭男社長)
同社は2005年設立。大手旅行代理店のエイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄氏が代表を務める澤田ホールディングスの持分法適用会社。エイチ・アイ・エスは同社の主要株主でもある。
2007年に損害保険業の免許を取得し、海外旅行保険の販売を開始した。昨年、新たな柱となる商品として家財保険の商品化に乗り出した。「商品開発の調査を進める中で、不動産会社の代理店業務が複雑化してきている点に着目しました」(松尾社長)。そこで考案したのが媒介代理店方式だ。
手数料は「国内損保と十分競争できる料率」(松尾社長)に設定する。今後、賃貸管理会社を中心に代理店開拓営業を進めていく。代理店については年間取扱件数の下限を設けない考え。