ワイケイマネジメント、定額サービスで期間短縮

管理会社ノート原状回復工事編

管理・仲介業|2023年06月14日

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 3564戸を管理するワイケイマネジメントは、定額制の原復サービスの利用を促し、原復の発注までの期間短縮やトラブル防止につなげる。

退去から最速7日で完工

 同社の商圏は岡山県倉敷市。従業員数はグループ会社も含め77人。そのうち原復の担当者は5人おり、PM課の3人と、修繕課の2人で分担する。

 2022年度の原復は600件弱と21年度と比べ約1割減少した。

 1件あたりの原復費は単身者向け物件で8万〜9万円程度。カップル・ファミリー向け物件も同程度だが、戸建て賃貸の場合は専有面積が広く、約40万円がかかる。同社の管理戸数のうち約1割が戸建て賃貸のため、全体の平均費用は1件あたり24万8000円だという。平均施工期間は3〜5日間。

ワイケイマネジメント会社データ

 原復は同社が元請けし、実際の工事は提携する施工会社4〜5社に発注を行っている。

 解約は自社ホームページから「グーグルフォーム」で受け付けている。フォームへの記入日が退去受付日だ。

 退去立ち会いは行わず、退去申し込みを受け付け次第、施工会社に連絡。見積もりを出してもらい、工事を発注する。

 同社の原復で特徴的なのは定額制の原復サービスをオーナーと入居者に提供していることだ。

 オーナー向けには、管理手数料とは別に物件の面積ごとに毎月定額を支払うことで、退去時の原復費のオーナー負担が0円になるサブスクリプションサービスを提供する。設備の故障による交換は1設備5万円を上限として同プランで賄える。原復の際に使用する材料のグレードを上げる工事であれば、原復との差額で済む。加入オーナーには原復の詳細は月次の収支報告書と共に報告している。11年から始め、オーナーの約5割が加入済みだ。

バリューアップ工事設置事例

原復時にバリューアップ工事を行い、アクセントクロスとダウンライトを設置した事例

 一方、入居者に対しては居室の広さに応じた額を契約時に一括払い、もしくは月払いで原復費を前払いしてもらう。入居時に敷金を取らず、代わりにクリーニング費用として受け取る形を取り、24時間駆け付けなども複合したサービスになっている。

 同社では部屋とエアコンのクリーニングは入居者負担とする。通常、退去時にかかるクリーニング費用が、サービスに加入することで退去時の精算が発生しない仕組みだ。

 ただし、経年劣化ではなく入居者の過失による瑕疵(かし)に対しては退去時に請求を行う。例えば、入居者が喫煙者でヤニ汚れが酷い場合はクロスの交換費用を請求するが、クリーニング費用との差額で済む。

 入居者向けサービスは20年ごろから始め、管理物件の入居者のうち2割が加入する。ただし、法人契約などを除き基本加入が必須であるため、サービス開始以降の入居者は8割が加入している。

 これらのサービスにより、同社は原復の際に、早急に見積もりから作業に入ることができる。結果、空室期間の短縮につながっている。オーナー、入居者共に非加入の場合は、退去から完工までに通常20日、長くて30日かかっていた。サービスに加入している場合は最短で退去から完工まで7日で済むようになった。

 澤井栄二常務は「まだ、半数のオーナーにはサービスに入ってもらえていないので、空室期間の短縮のためにも加入を促進していきたい」と話す。

(2023年6月12日6面に掲載)

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