学生マンションや学生向けのシェアハウスを中心に、賃貸住宅を1726戸管理する九大前不動産(福岡市)は、九州大学の学生を主な入居者ターゲットとする。入居者の大学生に向けてコミュニティー醸成を支援する取り組みなどを進めている。
コミュニティー醸成を支援
主な商圏は福岡市西区の伊都エリアと福岡県糸島市で、管理物件の9割がRC造。管理を受託するオーナーは法人が7割、個人が3割だ。管理物件の入居者のうち、9割強を九州大学の学生が占める。
学生の生活支援の一つが、入居者向けイベントの主催だ。4月には3年ぶりに、新規入居者に向けたウエルカムパーティーを開催した。
入居者向けイベントは2012年から開始。年に4〜6回ほど実施していたが、新型コロナウイルス禍が原因で中止していた。バーベキュー、ハロウィーンパーティー、クリスマスパーティーなど、季節に合わせたイベントを行い、平均で50人、最大で約200人が参加していたという。
二つ目が、学生入居者向けにスペースを提供することだ。九州大学伊都キャンパスから徒歩10分に所在する、九大前不動産の事務所を一部、入居者に向けて開放。デスクスペースや応接室を設置し、飲み物の無料サービスも提供する。コロナ禍前は、毎週5〜10人ほどの学生が来社し、おしゃべりや社長に進路相談をするなど、思い思いに過ごしていた。
同社事務所の社長室はガラス張りにし、利用する学生の様子を見ることができる一方、学生からも社長の働く様子がわかる。中下大輔社長が学生にとって相談しやすい身近な存在であることにこだわった。
加えて同社は、学生団体の活動への協賛や、地域活動への参加も積極的に行う。中下社長は、九州大学アメリカンフットボール部の地元後援会の事務局を務める。
中下社長は「関係を築けた入居者のきょうだいが九州大学に入学する際に、顧客として紹介を受けるなど、なんでも相談できることが入居の決め手になることもあった。コロナ禍が落ち着いたのでイベントを再開し、学生とのコミュニケーションに全力で取り組みたい」と話した。
(2023年9月18日4面に掲載)