社団法人日本不動産鑑定協会(東京都港区)は、4月22日に「証券化対象不動産の継続評価における東日本大震災の影響に関する評価上の取り扱いについて」と題した指針を発表した。震災直後、同協会内の証券化鑑定評価委員会を中心に対応策の検討を始め、まとめた。依頼者の決算手続きの時期に合わせて、鑑定が行えるよう配慮した。
発表では震災により損壊などの影響を受けた証券化対象不動産の継続評価について、建物状況などに関する資料を依頼者から入手し、それに基づき実地調査を行い、個別的要因の変化の有無及びその程度を確認する必要があると指摘。
だが、調査が完了しておらず資料を入手できない場合に評価を延期せず、震災の影響を考慮外とする旨の評価条件を付加した評価を依頼された場合、資料の制約による不明事項のうち合理的な推定によって価格への影響を判断することができない個別的要因について、投資家に情報が適切に開示される前提で震災の影響を考慮外としている。具体的には、専門家の確保ができないあるいは時間的制約などの合理的な推定によって価格への影響を判断することができない個別的要因についてのみとなる。
価格時点が震災前のものについては、成果報告書に「価格時点が震災の前であるため震災の影響を考慮していない」ことを記載することで対応することとしている。
なお同発表は福島第1原発事故による放射能汚染についてはふれられていない。