官民共創で実証実験
約2万5000戸を管理する穴吹ハウジングサービス(香川県高松市)は、官民共創による引っ越し手続きのワンストップサービスの実証実験に参加。3月18日に、実験の幹事企業であるエヌ・ティ・ティ・データ四国(愛媛県松山市)とNTTデータ(東京都江東区)から香川県に実証実験の成果報告をした。
香川県全域を対象にマイナンバーカードを利用し、オンライン上で引っ越し手続きを行うにあたって、社会実装を見据えた机上での検討とシステムの実証を行った。期間は、1月29日から3月13日。
引っ越しの際は、自治体だけでなく、電気・ガス・水道・インターネットといった民間事業者への住所変更や開通依頼など各種届け出が必要だ。そのため、多くの時間や手間が必要となる。
同実験では、こうした引っ越しに関わる手続きを、オンライン上でワンストップで行うための検証を実施。引っ越しを行うユーザーの利便性向上や事業者の新規顧客獲得機会の創出、地域活性化などの実現を目指す。
同実験には、香川県および、県下の全市町と穴吹ハウジングサービスを含む五つの事業者が参加。実験の運営やシステム環境の構築は、エヌ・ティ・ティ・データ四国を中心にNTTデータが行った。実証実験のモニター数は、自治体職員も含み、事前アンケートに計166人、システム実証に計84人、事後アンケートには計86人。
その結果、引っ越し手続きについてユーザーが調べ始めるのは、引っ越しが確定した直後や住居が決まった直後が約97%と判明。不動産事業者がワンストップサービスを紹介することが望ましいことがわかった。
不動産業界では、従来よりライフラインの手続きをサポートする会社と提携してきた。そのため、実証実験のようなワンストップサービスを実装するには既存サービスとの差別化か、協業を検討する余地があるという結論に至った。
穴吹ハウジングサービスHG経営戦略本部経営企画室の古家和樹室長代理は「不動産業界に類似サービスがある以上、ワンストップサービスの実装が進むのであれば自社にどういうメリットがあるか考える必要がある」と話す。
今後は、ワンストップサービスの社会実装に向け、具体的にどのような事業者をサービスに組み込むかを協議する。
(2024年4月8日2面に掲載)