デベロッパーの明豊エンタープライズ(東京都目黒区)の子会社で、賃貸マンションの管理を行う明豊プロパティーズ(同)の新社長に竹内智大氏が就任した。営業のプレーヤーとしての実績や、経営に携わったこともある経歴からヘッドハンティングされ、社長就任に至った。「2027年までに管理戸数を2倍に増やしたい」と竹内社長は意気込む。
27年までに管理7000戸目指す
不動産業4社経験
竹内社長は営業職に就いていた時に培ったホームステージングのスキルや、執行役員として業績向上に貢献した経験を生かし、会社の成長加速を図る。
明豊プロパティーズは、収益不動産の開発を行い東証スタンダード市場に上場する明豊エンタープライズの子会社だ。明豊エンタープライズが開発した賃貸マンションの管理を担う。
24年7月期の売上高は明豊プロパティーズ単体で19億8600万円だ。管理戸数は約3500戸。
竹内社長は24年に明豊プロパティーズに入社するまでに、4社の不動産会社を経験してきた。
22歳の時にはエイブル(東京都港区)に第二新卒として入社し、17年間勤めた。同社では賃貸仲介の営業に従事。全店舗の中で営業成績1位を獲得するなど実績が認められ、31歳でエリアマネジャー、33歳で営業部長に着任し、キャリアを積んだ。
その後は不動産管理を行うランドネット(東京都豊島区)で2年間、管理受託営業を担当。年間受託数で社内1位となった。
竹内社長は「当時はリーシングが難しい物件にホームステージングを施すことで、入居者を獲得していった。ホームステージングが私の得意分野となった」と振り返る。
19年からは9万戸を管理するApaman Property(アパマンプロパティ:東京都千代田区)に転職。その頃、同社では管理受託営業を強化しており、営業体制の構築を任された。マネジメントの傍ら、いち営業社員として現場にも出ており、21年までの2年間で1300戸の管理戸数の増加に貢献した。
4社目の日本財託管理サービス(東京都新宿区)では、営業以外に経営企画部や法務審査室などさまざまな部署を経験。執行役員として、新規事業の立ち上げにも携わった。
「どの会社やどの業務でも、レスポンスを早く返すなど、基礎的なことを徹底し、取引先との関係性を大切にしていた。取引先から信用を得て新たな仕事を獲得することの繰り返しが、受託数1位などの結果につながった」(竹内社長)
エージェントを通してヘッドハンティングされ、24年8月に執行役員として明豊プロパティーズに入社。その後、同年10月に社長に就任した。
受託営業を強化
竹内社長が乗り出しているのが、ストック収入拡大を目的とした、管理戸数のさらなる伸長だ。親会社である明豊エンタープライズから管理を任される賃貸マンション以外にも、受託営業により管理獲得を行う。
27年までに、現在の3500戸から2倍の7000戸の受託を目指す。そのうち親会社からの受託割合を4割、それ以外からの獲得を6割という比率にしていく。
そのために、1年ほどは竹内社長自身が現場に出て、管理事業の改善を行う。
まずは、入居率向上のために、管理物件の空室にホームステージングを施していく。入居率を現在の97%から98%に上げるのが目標だ。
親会社が開発する賃貸マンションシリーズのうちの1つである『MIJAS(ミハス)』が、メゾネットの設計であることが多く、ランドネットで培ったホームステージングの経験が生かせると感じているという。
「親会社から一定数の管理受託は確保できるものの、デベロッパーの子会社ではなく、いち管理会社として管理戸数増加に注力していく。管理を獲得することで、工事や更新料など、さまざまな売り上げにつながるため、受託獲得は必須だと捉えている」(竹内社長)
DX活用し負担減
事業規模を拡大するにあたり、社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進め、業務負担の軽減に取り組む。すでに電子申し込みシステムや、電子契約システム、入居者向けアプリ、オーナー向けアプリ、請求書の一元管理ソフトの五つのシステムを導入し、活用を進めている。
事業拡大や社内インフラの整備以外にも、社員の働きやすさの向上を目指す。
「会社の改善点を探るため、社長就任2日目から全従業員との面談を行っている。1人あたり1時間ほど腹を割って話し合い、不満に思っていることや会社への要望を吸い上げている。出てきた意見を吟味し、会社の改善に反映しようと思う」(竹内社長)
(國吉)
(2025年1月27日20面に掲載)