さかさま不動産の新支局
高知県香美市より委託を受け移住支援を行うNPO法人いなかみ(高知県香美市)は、移住希望者と空き家所有者のマッチングサービスを行っている。
ホームページ上でのマッチングのほか、空き家所有者向けの説明会を行うことで新規物件の掘り起こしにつなげている。
同法人は15年4月の設立で、対応エリアは香美市。空き家バンクの物件案内などの移住支援、子育て支援を行う市の施設「香美市ファミリー・サポート・センター」の運営代行など、幅広く地域の支援事業を行う。移住業務に関しては、累計で163組306人の移住を実現した(25年1月末時点)。
移住相談を受ける中で課題となっていたのが、移住希望者に対して紹介する物件の不足だったという。
こうした課題にアプローチする手段の一つとして、24年9月にOn-Co(オンコ:三重県桑名市)が全国展開する「さかさま不動産」の香美支局となった。
さかさま不動産は、移住希望者が移住目的をPRすることで空き家所有者の共感を得て、提供可能な物件を掘り起こすマッチングサービス。
同法人によると香美支局は、四国地方初の拠点になるという。
25年1月には空き家所有者に向けた、さかさま不動産の説明会を市内で実施した。参加者13人のうち、空き家所有者は3人だった。移住希望者がプレゼンテーションを行い、1件は現地見学に至った。
さかさま不動産は、ウェブ上でもマッチングが可能だが、高齢の空き家所有者の場合、オンラインツールを使いこなせないことも多い。
説明会などの対面イベントでのつながりは、こうした空き家所有者へのアプローチとなる。貸し出しに悩んでいる所有者が移住希望者の話をじかに聞くことで、心を動かされることもあるとする。
参加者はさまざまな活用案を持ち寄った
同法人は、今後も定期的に空き家所有者向けの説明会を開催していくほか、さかさま不動産の認知を広げるため地域の公共施設などにチラシを置くなどの取り組みを行う予定だ。
同法人の藤原励氏は「まずはマッチングの促進を目指したい。さかさま不動産を利用する移住希望者は、事業をやりたい熱意ある人が多いので、地域の活性化にもつなげていきたい」と話す。
(2025年3月10日17面に掲載)