相続税の還付で事業を拡大してきたフジ総合グループ(東京都新宿区)。2022年11月に創業30周年を迎える。不動産鑑定と相続税の専門家集団として、相続税関連業務をこれまで約8500件、相続税還付手続きについては約5600件(共に22年10月12日時点)対応してきた。大阪市、愛知県名古屋市に事務所を開設し、着実に案件数を増やしている同グループ。藤宮浩代表に今後の展望について話を聞いた。
相続税還付5600件の専門家集団
納め過ぎた税金の返還請求 相続税申告後5年以内有効
―御社の主力業務は相続税還付です。賃貸住宅業界では知らない人も多いと思います。まず相続税還付とはどのようなものかを説明してください。
相続税還付とは、一度納めた相続税について、申告後5年以内に納め過ぎていた税金の返還を求める手続きのことです。正式には「更正の請求」と呼ばれます。相続税が還付になる主な要因は土地評価の見直しにあります。
―土地の評価は、地主の相続税に大きく影響してきます。
還付額は、数百万~数千万円単位で戻ってくることも珍しくありません。還付のポイントは主に三つあります。一つ目は土地の個別性です。広さ、形状、道路付け、道路との高低差、傾斜、間口距離などが減額要素になります。二つ目は不動産関係諸法令です。特にセットバックや容積率が異なる地域にまたがっているケースなどが該当します。三つ目は権利関係です。所有権だけでなく、第三者の権利が付着していると変わります。
―相続税還付業務をいつから行っているのでしょうか。
現会長の吉海正一氏が1992年に税理士事務所と不動産鑑定士事務所を立ち上げた時からです。当時はまだ相続税還付自体ほとんど行われていなかったため、先駆けといえます。始めたきっかけは親戚から相談されたことです。相続税が高かったという話を聞き、申告書を見たところ、土地の評価額が高額になっていました。そこで、土地の評価を見直し、税務署に更正の請求を行ったところ払い過ぎた相続税が還付されました。
―相続税還付の認知度が低い中での営業は大変でしたよね。
当初は税理士、司法書士、弁護士、不動産会社などを回って相続税申告した地主を紹介してもらっていました。地主に直接営業するようになったのは、私が入社した2000年からです。当時はまだ不動産鑑定士の試験を受けている途中だったので、現会長から申告書を預かるように言われていたのですが、なかなか難しかったです。アポを取って現会長に同行してもらいその場で申告書を見せてもらうことで、還付の仕事を受けるようになりました。
―申告書自体はすぐに見せてもらえるのですね。
相続税還付の業務は成功報酬なので、可能性を見るだけなら無料ですし、還付になれば税金が戻ってくるので喜ばれました。その後、私は不動産鑑定士の資格を取得し、自分で判断できるようになったので、営業しやすくなりました。
―まだ相続税還付の認知度が低い時代に、還付された地主は驚かれたでしょう。
地主も半信半疑なのですが、成功報酬だからいいよという感じで、還付手続きをさせてもらいました。印象に残っているのは、当初試算した金額を見て、「軽トラックが古くなったから買い替えるくらい戻って来るならいいね」と話していた農家の地主です。実際は3800万円戻ってきて「娘にマンションを買えるじゃないか。最初の申告はなんだったのか」と話していました。
―相続税の申告者は限られますが、どのように地主に直接営業していったのですか。
今は廃止されてしまいましたが、当時は課税対象者の公示制度があり、税務署に行けば相続税納税者の情報を知ることができました。その情報を基に地主営業をしました。今は地主への直接営業だけでなく、税理士や司法書士など士業からの紹介が増えています。賃貸管理会社からの紹介も広げていきたいと思っています。
最高還付額は3億6640万円 土地の評価額の計算が重要
―これまで行った還付手続きで、最高還付額はいくらですか。
4年前に行った3億6640万円の案件です。都内に自宅用地8600㎡を所有していたケースで、奥行きがある土地のため容積率300%と200%にまたがっていたのです。相続税申告ではすべて容積率300%で計算されていたため、高い評価額となっていましたが、実際は容積率200%の土地が面積の大部分を占めていたのです。この土地の評価額だけで2億3970万円も減額になったことは大きいです。
―そんなに還付されるケースもあるのですね。逆に還付を受けにくいのはどんな土地ですか。
区画整理が終わっている土地や整形地は減額要素が見つかりにくいので、そういった土地が大半を占めている地主は難しいです。ただ、人的な見落としもあります。多くの税理士にとって、相続申告はまれな案件です。そのため、路線価の読み間違いや、都市計画道路に土地の一部が掛かっていた場合、セットバックが必要な土地、高圧線が上空に通っている土地など、減額要素を見落としているケースもあります。
―今後御社はどんなことに注力しますか。
当社では相続税還付だけでなく、相続税申告、相続税土地評価、相続税対策シミュレーションを行っています。今後はさらに相続税関連業務を行う会社として、相続税土地評価「クアトロチェック」というサービスを強化していきます。クアトロチェックでは、従来の相続専門税理士による視点・不動産鑑定士の時価の観点に加え、土地家屋調査士による測量と、一級建築士による宅地造成費の観点を取り入れます。この四つの専門家が連携して、適正な土地評価を行うことで他社との差別化を図り、納税者にとって有利な相続税還付、相続税申告、相続対策シミュレーションを行っていきたいと思っています。
三代でゴルフを楽しむ
5年ほど前から社内で月1回ゴルフコンペを行っている。始めた当初から藤宮代表の父親も参加している。父親も誘っているのは同社の顧問が89歳でもなおゴルフを続けており、コンペに参加しているからだった。「86歳の父親に顧問の姿を見せれば、いつまでも元気でいてくれると思った」(藤宮代表)
10月には社会人になった24歳長女がゴルフを始めるようになり、3世代でラウンドしたという。「父は足を引っ張るなと言っていましたが、娘に指導しながら回る父が遅かった」と語る藤宮代表の顔は笑顔だった。
初めて父と娘と共にゴルフを楽しんだ
会社概要
グループ名:フジ総合グループ(フジ相続税理士法人/フジ総合鑑定)
所在地:(本部)東京都新宿区新宿2-1-9 JESCO新宿御苑ビル2F・9F
創業:1992年11月 吉海正一税理士事務所 開所(フジ相続税理士法人の前身)
事業内容:相続対策、相続税申告、相続税還付、不動産コンサル、相続税土地評価、不動産鑑定評価
会社メモ
1992年11月、吉海正一会長が吉海正一税理士事務所を開所。同年12月に吉海総合鑑定を設立。2004年に吉海総合鑑定をフジ総合鑑定に名称変更。06年にフジ相続税理士法人を設立。07年にNPO法人相続不動産トータルサポートセンター「よろず相談室」設立(現NPO法人相続手続きサポートセンター)。13年に大阪事務所を開設。15年には名古屋事務所を開設、同年に不動産会社のフジ相続不動産コンサルティングを設立。
社長メモ
1970年、埼玉県所沢市生まれ。1993年に日本大学法学部卒業後、建材卸事業会社を経て、2000年に吉海総合鑑定に入社。04年不動産鑑定士試験合格および登録。同年フジ総合鑑定の代表取締役に就任。同年フジ総合グループ(フジ相続税理士法人とフジ総合鑑定)の代表。
(2022年11月7日11面に掲載)




