宮城県では被災者向け仮設住宅の入居期間について、2013年度末までの3年間としていた期限を1年間延長し、14年度末までとすることを8月30日に発表した。
仮設住宅はプレハブ仮設住宅のほか、民間賃貸住宅や公務員宿舎などのみなし仮設、合計約4万戸が対象。そのうち宮城県内で延長の対象となる民間借り上げ住宅は約1万8000戸に上るという。
国は4月、災害公営住宅整備など住宅再建の基盤づくりに時間がかかっていることから、県と市町村の判断で延長を可能にする方針を各自治体に通知していた。福島県は今年4月、計約4万戸の入居期限延長を決め、市町村に通知した。岩手県も延長する方向だという。
「仙台市内の仮設住宅入居者はこの2年半で7000世帯が自立という形で出て行きました」と話すのは、宮城県宅建協会広報・渉外委員長で常務理事のリードホーム社長大城秀峰氏。石巻市で620戸管理するホームランド大地の佐藤創藏社長もまた「自力で土地を購入して建設したり、住宅メーカーによる建て売り分譲を購入してみなし仮設から出て行く人は増えています」と話す。
2015年に地下鉄東西線が開通予定で、災害復興住宅もそれと並行して進められている。「開通時には8割方が完成し、物件不足がだいぶ解消されるだろうが、それまでは今の状態が続きそうです」と不動産マーケティングを行うシーカーズプランニングの佐々木篤社長。被災地では、全体的に、用地、資材、物件が慢性的に不足しているという。石巻より北部の沿岸部は特に復興が進んでいない。プレハブ仮設は居住性が悪いので、高齢者が地元での再建を諦め退去するケースが増えているという。この遅れをさらに助長するのではないかと不安にさせているのが、東京オリンピック開催決定だ。「人手が取られ、復興がなおさら停滞するのではないかと不安に思っています」と平和住宅情報センター(仙台市)の奥山俊一社長は話すが、他の地元不動産会社からも聞かれた声だ。
2年半たってもなお、先行き不安な被災地。今後も随時レポートする。