自民・公明両党は2021年12月10日に令和4年度の税制改正大綱を発表し、住宅ローン控除の利率の引き下げや一部商業地に限定した固定資産税の負担増緩和などについて盛り込んだ。
不動産会社にとって影響が大きいと考えられるのは、住宅ローン控除の控除率と借入限度額の引き下げだ。住宅取得時に借入した金額に対し、令和3年末までは年末の借入金残額の1%を税控除するが、令和4年以降は控除率0.7%とした。また、借入限度額を従前の4000万円から、令和4・5年度は新築が3000万円、中古が2000万円に引き下げた。
松木飯塚税理士法人(東京都港区)の飯塚美幸税理士は「住宅ローン控除の限度額の段階的な引き下げは、国として特に新築の駆け込みでの住宅取得を後押しするものと考えることができる」と話す。令和3年度の大綱で要件緩和になった、年収1000万円以下で床面積40㎡以上の住宅を取得した人を控除の対象とする内容は継続する。
地主や資産家にとって影響が大きい項目は、一部の商業地に限定して固定資産税の負担増を軽減した点だ。商業地で負担水準が60%未満の土地に限って、負担の増加割合を土地の評価額の5%から2.5%へと引き下げ、税負担の増加を抑制した。令和3年度に据え置かれていた住宅地や農地は、地価評価額の増加分に応じ、税負担が増える。商業地では、一部で据え置きもしくは負担緩和となった。
富裕層向けには、財産時価が該当する年の12月31日時点に保有する財産時価が10億円以上の場合、所得にかかわらず財産債務調書の提出を義務付けた。「国は富裕層の資産把握を強化しようとしており、その方針を示す内容だといえる」(飯塚税理士)
(2022年1月3・10日23面に掲載)