朝日リビング、「子ども虐待防止」市民運動に賛同 年間6500件の施工現場で周知

朝日リビング

その他|2022年06月08日

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 賃貸住宅のリフォーム・リノベーションを多く手がける朝日リビング(大阪市)は、子ども虐待防止に向けた取り組みを開始した。会社理念の「あらゆる人々の住まいを快適で安全な空間にする」ことを実現するため、改修工事会社としてできることを行動に移し始めた。

企業理念を実践

 「オレンジリボン運動」。聞き慣れない言葉だが、「子どもへの虐待がない社会の実現」に向けた市民運動のことを指す。朝日リビングは3月より、施工現場の足場に取り付ける養生シートや、入居者と近隣住民に配布する工事案内チラシを活用し、運動の認知拡大に取り組み始めた。 同社は賃貸住宅を中心に年間6500件以上の工事を手がける。工事の規模によっては数カ月を要することもあり、少なからず当該物件の入居者や地域住民との交流機会がある。その際、入居世帯で子どもへの虐待が疑われるような兆候が見受けられた場合、専用窓口に連絡してもらうようチラシに電話番号を載せて配布する。

施工現場の養生シートに掲示するメッセージ

施工現場の養生シートに掲示するメッセージ

 則安盛久社長はこの運動に賛同し、全国的に取り組んでいくことを社員に通知した。現在6歳になる子どもを持ったこともきっかけの一つだが、会社理念として掲げる「あらゆる人々の住まいを快適で安全な空間にする」「おもんぱかる心を通して笑顔のある暮らしを実現していく」ことを実践するためという意味合いも強い。「過去には、1カ月以上も家に閉じ込められた結果、子ども2人が餓死するという痛ましい事件もあった。何らかの兆候を読み取り、地域がもう一歩踏み込めていたら最悪の事態は防げたかもしれない」(則安社長)。

 これまで施工現場において、窓ガラスが割れたままだったり、防水工事ができないほどベランダにごみがたまっていたりする世帯を目にすることがあったという。そのような状況を気にかけることが、子どもを守るための第一歩につながるとの考えだ。

広い関心持つ組織へ

 若い頃、けがにより車いすでの生活を余儀なくされた経験を持つ則安社長は当時、「世の中、バリアフリーが進んでいない」と感じたという。子どもが生まれ、ベビーカーが必要になると、電車の乗り換えのために階段を何度も上り下りしなければいけないことも身をもって経験。いろいろな境遇に置かれている人が、同じ街で暮らすことの意味を考えるようになった。

 社員に対して、自分たちのお客さまは誰かと問うことがある。施工主であり、対価をもらうのは不動産オーナーだが、案件の受発注に関わる管理会社スタッフ、工事をすることで安心、快適に暮らせるようになる入居者、騒音などで迷惑をかける近隣住民と、関わる人は多く、「すべての人々がお客さまと捉えることもできる」。違う見方では、不動産の価値を高めることは、その地域全体の価値向上にもつながるため、「自分たちの仕事は物件単位で完結するものではない。社員には街や地域に広く関心を持ってもらいたいし、そのような組織をつくりたい」と則安社長は話す。

朝日リビング 則安盛久社長の写真

朝日リビング
大阪市
則安盛久社長(51)

 

(2022年6月6日9面に掲載)

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