社員に代わり元警察官が対応
入居者同士の近隣トラブル解決支援サービスを提供するヴァンガードスミス(東京都港区)は、悪質なクレームや過剰要求などのカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対応に特化した「Pサポ+for Business(フォービジネス)」を展開している。
主なサービス内容としてはカスハラを行う特定顧客の対応を管理会社やコールセンターから引き継ぐことと、カスハラへの対応方法についてアドバイスすることだ。田中慶太社長は「トラブルに関しての会社側の対応ミスや遅れによってカスハラが発生することもある。従業員はそれに負い目を感じ、相手のクレームを受け入れてしまい、精神的に疲れてしまう」と語る。対応はすべて元警察官である同社の相談員が行う。従業員の精神的負担を軽減し、業務が円滑に進むことを目指す。
同社は2015年より管理会社に代わり、入居者同士の近隣トラブルの解決を支援するサービス「mamorocca(マモロッカ)」を提供している。同サービスの会員は6月末時点で約159万人。累計で5万5000件のトラブルを解決した実績から、相手の心理状態に注目した対応方法を確立している。Pサポ+for Businessでも同様のノウハウを活用し、カスハラ顧客に対してヒアリングを行い、相手の感情に応じたコミュニケーションを取ることで相手の感情を落ち着かせ、通常の窓口で対応できる状態までもっていく。
Pサポ+for Businessは定額制となり、従業員数×数百円で見積もりが必要となる。mamoroccaを導入している管理会社に対してPサポ+for Businessを組み込んだプランへの移行を提案しており、約40社で移行が完了した。管理会社以外にも、カスハラが多い他業界でも導入が進んでいる。「世の中でカスハラ対応を強化する機運が高まる中、具体的な対応方法が定まっていない企業が多い。当社が背後に控えていることで、従業員が安心して働ける環境づくりの手助けをしていきたい」(田中社長)
ヴァンガードスミス
東京都港区
田中慶太社長(43)
(2024年7月22日13面に掲載)