不動産賃貸業界にはびこる組織の課題とは?
「優秀な社員ほど、会社を辞めてしまう」「支店長が代わった途端に、その店舗から退職者が相次いだ」「次期幹部候補が、既存顧客を連れて独立してしまった」―。
いずれも不動産賃貸業界でよく聞く話だ。こうした離職に悩む企業は近年増えている。人手不足の中、辞めてほしくない人材ほど会社を去っていく。こうした悪循環に歯止めをかけるには、「社員から選ばれ続ける会社づくり」が必要だ。
リンクアンドモチベーションは、2000年の創業以来、モチベーションをテーマに人事や組織のコンサルティングを提供してきた。国内最大級1万1360社・403万人のデータベースをもとに組織状態を診断し、企業の人材採用・人材育成・制度設計・風土変革などを支援している。本連載では、離職を防ぎ、優秀な人材から選ばれ続ける「強い組織づくり」のノウハウをお伝えしたい。
離職のメカニズム 賃貸業特有の背景
社員の離職に悩む企業は、年々増えている。特に不動産賃貸事業は、営業人数がそのまま売り上げにつながりやすい業界であり、離職による損失は大きい。また、離職が続くと、慢性的な人手不足となり、それがそのまま経営課題になっている会社も多いだろう。離職に悩むのはどの業界でも同じだが、不動産賃貸業では二つの理由から離職が発生しやすい。
①変化しやすい「組織」や「待遇」に引かれて入社する人が多い