不動産ファンド(SPC)の仕組みとレバレッジ

【連載】ファイナンスからみた不動産経営 第3回

投資|2023年06月21日

 外資系ファンドに勤めている人から「不動産投資は"個人版LBO"ですね」と言われました。LBO(レバレッジド・バイアウト)は、企業買収の際に買収対象企業の将来キャッシュフローや資産を元手に買収資金を調達するファイナンス手法です。確かに、購入物件を担保に融資を受け、物件からの収益を返済原資とするという点で、不動産投資とLBOは似ています。また、自己資本の収益率を上げるレバレッジの仕組みに関してもSPC(特別目的会社)を活用した不動産ファンドの仕組みは似ている部分があります。しかし、大きな違いもあります。

【投資期間】SPCの投資期間は比較的短期間で、期間満了とともに売却・精算されます。また、ノンリコースローン(後述)を利用するため、物件の価値があらかじめ設定された水準を下回った時点で強制的に投資が終了します(トリガー条項)。一方、個人の投資期間は当然投資家の意思によって決められ、市場価格が融資額を下回ったとしても返済が滞らない限りは繰り上げ返済や売却を求められることはありません。

【ノンリコースローン】SPCの受けるノンリコースローンでは、万が一運営が破綻しても物件自体を金融機関に渡すことによって債権と債務の関係を清算することができます。そのため物件価格に対する融資額の割合(LTV)は50~60%程度と低めです。また、投資期間中は利払いのみで元本は投資終了時に一括返済します。一方、個人投資家が受ける融資は投資が破綻した場合、物件の差し押さえ・競売でも回収できない分は、自己破産で免責されない限りは清算されないため、LTV80~90%(場合によっては100%)の融資も可能です。また、元本と利息の合計額を返済するので、借り入れに対する返済負担率(K%)はより大きくなります。一方で投資期間中の元本返済が進むので融資残高が逓減します。

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