拠点型から本部主導型へ

【連載】成功事例を大公開!賃貸管理研究所 第90回

賃貸経営|2023年10月27日

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 今回は「多店舗経営・多部門経営のマネジメントで勝ち組になる方法」について、賃貸仲介部門がある会社を例に説明します。

マネジメント体制を再構築

 まずは、全国各地の賃貸仲介会社の現状を確認していきます。全国各地の賃貸仲介会社の多くで「反響来店率(メール・電話などでの物件問い合わせから来店につながる率)」が低くなっています。

 反響来店率は、ひどいケースだと「1桁」、多くは「20%前後」で推移しており、「反響の80~90%が来店につながっていない」という状態です。こういった状況にある賃貸仲介会社では、「組織づくりが時流に合っていない」可能性が高いです。

「負け店舗」の発生なぜ生まれるのか

 あえて言うならば、反響来店率20%の店は「負け店舗」です。今成長している会社の反響来店率は「50~60%」であり、苦戦している会社の「2~3倍」の来店率があります。その差はどこからくるのでしょうか?

 敗因は現場スタッフが頑張っていないからではなく、「組織づくり」の仕方に間違いがあります。この敗因から抜け出すためには「2:6:2の法則」を理解することが不可欠です。どんな会社でも、「成果の高い人材2割:平均的な人材6割:成果の低い人材2割」に分類されるというのが「2:6:2の法則」です。

 この「2:6:2の法則」は、部門間や店舗間でも成り立ちます。賃貸仲介店舗が5店舗あれば、「売り上げが良い店舗:売り上げが普通の店舗:売り上げが微妙な店舗」で1:3:1、社内に部門が五つあれば「売り上げが良い部門1割:売り上げ普通の部門3割:売り上げ微妙な部門1割」で1:3:1という感じです。会社によって部門ごとの成否はまちまちだと思いますが、自社の部門に当てはめて考えてみてください。

 1店舗・1部門で「うまくいったやり方」をほかの店舗・部門で展開すれば同様にうまくいくはずですがなぜかそうはいかない。その要因が2:6:2の法則です。「組織」とはそういうふうにしか出来上がりませんし、優秀な人を引っ張ってきて増やしても、その分だけ優秀だった人が「6の層」に変わってしまいます。6の層だった人が「下位2の層」に変わってしまいます。まれに「上位2の層の人」が多い割合になることがありますが、数年経つと独立して2:6:2の状態に戻ったり、時には独立した「上位2の層の人」が敵となってしまったりします。

 泣き面に蜂ですが、これも2:6:2の組織論を理解していないことの結果であるということが当てはまります。

負の構造から脱出 必要なことの整理

 ある店舗の赤字を別の店舗の黒字で賄っていたり、賃貸仲介部門の赤字を収益物件売買などの黒字で賄っていたりして「全体的には利益がプラスマイナスゼロ」のようなことが起こっていれば、社内に「勝ち部門」「負け部門」があるということです。

 この「負けの構造」から抜け出すために必要なことは、「組織づくりの2:6:2の法則」を理解して「拠点型マネジメント」から「本部主導型マネジメント」に転換し、「部課長を主体としたPDCAサイクル」にモデルチェンジすることが不可欠です。

 整理しますと、次の五つにまとめることができます。
①事業戦略と組織戦略を一体化した両輪として、必ずワンセットで回すこと
②時流に合わせた事業戦略(ビジネスモデル)を選択すること
③組織づくり・マネジメント・デジタル活用の仕方を根本から見直すこと
④拠点型から本部主導型マネジメントにモデルチェンジすること
⑤この環境整備を社長が中心になって行うこと

 そして、まさにこの一連の流れこそが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼ばれるものです。しかしながら、規模の大小や、上場非上場を問わず、日本国内のほとんどの企業が「DXの定義」を間違えて捉えていることが多いように思います。「最新のデジタルツール・システムを導入すること=DX」「DX=組織の課題がデジタルの力で解消されること」と考えて、「多額の投資に見合った成果が出ていないこと」がかなり多くなっています。

 正しいDXには、必ず二つのことが求められます。
①時流に合った事業戦略(ビジネスモデル)を選ぶこと
②2:6:2の法則を踏まえて組織戦略(ビジネスプロセス)をつくること

 負けの構造から抜け出すためには、①②のいずれかではなく、必ず両方セットで行うことが必要です。

 冒頭で伝えた「多店舗経営・多部門経営のマネジメントで勝ち組になる方法」は、正しいDXで最適・最短に成果を出すための「経営戦略モデル」です。その内容はこの連載の中でお伝えしてきています。ぜひ過去号を読み直していただけたら幸いです。

宮下一哉写真

船井総合研究所
賃貸支援部
賃貸DXグループマネージャー
宮下一哉

 

賃貸不動産ビジネスに特化した「組織戦略」の構築により、持続的な安定成長を実現する経営を目指す。未来組織図づくりや人材開発、業務再構築から始まるDX推進まで、組織実行力をアップする総合コンサルティングを得意とする。

(2023年10月23日20面に掲載)

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