Q.他人に時効取得された土地を購入した場合は?
A.移転登記をすれば取得できる可能性あり
2023年度の宅地建物取引士試験(以下、宅建試験)の問6は宅建試験では頻出分野の取得時効と登記に関する問題でした。ただ、選択肢のすべてが最高裁判例に関するもので、かつ個数問題であったことから、正答率は10%であり、ほとんどの受験者が解けなかったものでした。
同問題では、A所有の甲土地について、Bが所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続したことが前提でしたので、この記事もそれを前提に解説します。
不動産取得の主張 物件の登記が必要
不動産に関する物権の得喪および変更は、不動産登記法そのほかの登記に関する法律の定めるところに従い、その登記をしなければ、第三者に対抗することができません。(民法177条)
つまり、権利者の側から見て、権利者であっても登記がないと当事者以外の者に対しては自分が権利者であることを主張できないということです(公示の原則)。所有権は目に見えない権利なので、一定の形式的要件を要求したわけです。
とても有名な条文で、宅建試験では超頻出分野です。