武蔵小杉駅前不動産、年間賃貸仲介1550件に伸長【注目企業インタビュー】

武蔵小杉駅前不動産

インタビュー|2024年06月06日

武蔵小杉駅前不動産 神奈川県川崎市 村谷 和郎 社長(52)

 「エキマエホーム」の屋号で武蔵小杉エリアに本社を置く武蔵小杉駅前不動産(神奈川県川崎市)は、賃貸仲介で事業を伸ばす。リーシングの実績を武器に管理受託にもつなげる。会社づくりでは、評価制度を透明化を図り、社員の自主性や勤続年数の永続化を図る。村谷和郎社長に同社の戦略や人事制度について聞いた。

リーシングから管理受託7割

5年で年商3倍 商圏は川崎と横浜

 2016年に設立した武蔵小杉駅前不動産は、賃貸仲介事業を柱としながら、賃貸管理事業も拡大する。

 24年2月期の売上高は約3億円。店舗出店などにより5年間で売上高を3倍ほど伸ばした。内訳は、賃貸仲介事業が8割、賃貸管理事業が2割だ。

 主な商圏は神奈川県川崎市と横浜市。従業員は27人で、事務の担当者以外は、全員が賃貸仲介と賃貸管理を担う。店舗は本社を含め3店舗を展開する。

 同社は、分業化の逆をいく完全属人化が特徴だ。同じ担当者が継続して担当することでオーナーの満足度を高めている。

 売上高の8割を占める賃貸仲介事業では、特に来店成約率を重視。部屋探し顧客のニーズを詳しくヒアリングすることに注力し成果を上げてきた。

 村谷社長は「反響数、来店率、成約率はすべて重要で、どれか一つが欠けても成立しない。その中でも成約率は社員が達成感を得られ、顧客満足度向上にも直結する部分のため、最も重要視している」と話す。

信頼関係を重視「まず仕事で成果」

 同社は賃貸管理事業を強化する。同事業は創業当時から取り組み始め、管理戸数は313戸(5月19日時点)。年間の平均入居率は98%。管理物件の所在地は、川崎市・横浜市が8割、東京都が2割だ。

 賃貸仲介を通してオーナーと関係を構築し、実績を積み上げていくことで管理受託につなげる。物件に空室が出るたびに一般媒介で賃貸仲介を行い、1棟の中で、徐々に同社が仲介した部屋の割合を増やしていく。その後、入居率が上がるにつれて、オーナーからの信頼が厚くなり管理を受託することが多い。

 新規管理の受託経路は、賃貸仲介からが7割、既存受託オーナーからの紹介が3割だ。管理受託のみを目的とした飛び込み営業は行っていない。

 賃貸管理では、1物件あたり1人の担当者をつけ、新規管理受託から入居者募集、広告料の設定、募集条件の決定、入居者の審査、入居者対応、退去時対応、原状回復、リフォーム提案まで、物件に関わることの一切を行う。

 村谷社長は「物件を新規で受託するのは大変な業務。受託したスタッフが担当し続けることでオーナーや物件についての歴史を共有することとなり、強い関係性が築けると考える」と話す。

 賃貸仲介と管理をワンストップで行うことのメリットとして、担当者自身が入居者対応を行うことから、入居審査が自然と厳しくなり属性のよい入居者を入居させることが多くなる。そのため、オーナーの満足度が高まることを村谷社長は挙げる。

 また、オーナーと長期の付き合いが前提となることからも場当たり的ではなく、親身で責任感のある対応となり、自走できる社員が増える点にあるという。

 客付けの賃貸仲介会社への依頼など、社員に裁量があるため、経営感覚を養う狙いもある。

過去の実績も評価 賃貸管理に報奨金

 属人的な担当制を敷く同社では、社員の定着率向上を重視。そのために独自の給与体系を創業時から構築している。給与の算出方法を透明化することや、居心地のよい職場環境をつくることで、年間の離職率を3%に抑えている。

 給与体系の特徴は、担当者がこれまでに管理受託した物件にまつわる売り上げが、すべて担当者の売り上げ実績に反映されることだ。

 具体的には、担当する物件の賃貸仲介手数料、更新料、管理料、保険、大規模修繕時の建築紹介料、引っ越しの紹介、ライフラインの紹介、駆け付けサービスの付帯など、会社の収入になるものは、そのままの金額で担当者の売り上げ実績としてカウントされる。売り上げのうち100万円を超えた分の30%が賞与として支払われる。

 「会社の売り上げ拡大を個人に落とし込むことが社員の不満をなくすために必要だと考えた」(村谷社長)

 同制度では、担当する管理戸数が増えれば増えるほど、自然とインセンティブが高くなる環境となり、成績を残している社員の定着率を高める狙いがある。

 今後も、創業時から取り組むデジタルツールの導入で業務の効率改善を進める。現在は追客ツールや顧客管理システムなどを導入している。その一方で、専任担当制で社員個人の経験の蓄積によって仕事の質を向上させて、他社との差別化を図る方針だ。

 事業は当面、賃貸仲介事業と賃貸管理事業の二つに注力する。売上高は前年比105%を目標としている。

福利厚生に「炊きたてご飯」

 村谷社長は職場環境の改善に取り組む。

 休憩室には給湯設備や電子レンジと冷蔵庫のほかに、炊飯器とエスプレッソマシン、マッサージチェアなどを設置。調理道具だけでなく、米とふりかけ、インスタントのスープや味噌汁を常備している。

炊飯器画像

取材時にも活用していた炊飯器

 村谷社長は「出社すれば炊きたてのご飯が食べられる環境にした。インスタント食品よりも健康にいいと考えている。昼だけでなく夜も食べて帰る社員がいるほど好評」と笑顔をみせる。

 社内イベントも年に数回企画。キャンプやバーベキュー、社員旅行、音楽ライブ参加などを通じて社内交流を図る。

【社長メモ】

大学の理工学部で土木工学を学ぶ。新卒で建設コンサルタント会社に入社し、第二東名高速道路、長野自動車道などの設計に携わった。2003年、親族が不動産会社を始めたことを機に、その会社に入社する形で不動産業界に飛び込む。2016年に、勤務していた店舗が閉店することとなり、その店舗を買い取って独立した。

(舘野)
(2024年6月3日15面に掲載)

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