収益不動産デベロッパーとして55年の歴史を持つスカイコート(東京都新宿区)は、リノベーション事業を強化する。管理物件の築年数が上がっていく中で競争力の低下を打開する一手になるとみる。藤原茂社長に、リノベ事業の戦略を聞いた。
5年で50戸施工、受注率は60%
複数プランを提案
同社は「SKYCRAFT Lab.(スカイクラフトラボ)」と銘打ち、2019年11月にリノベ事業を開始した。これまでに、管理する区分マンションを中心に50戸のリノベを手がけてきた。24年4月末時点の管理戸数は約9000戸。そのうちマスターリースが65%、一般管理が35%程度を占める。
「管理物件のうち築30〜40年が43%を占め、創業時から管理を預かっている物件もある。入居期間が長くなれば必然的に原状回復工事で修繕すべき箇所が増え、工事費用が高額になる。設備や間取りが古くなり競争力も低下してしまう。こういった物件を中心にリノベを提案している」(藤原社長)
提案する物件の平均築年数は20年超で、空室リスクへの危機感が強い一般管理のオーナーからの受注が多いという。長期間の入居後の退居発生時、原状回復工事の見積もりと共に工事提案を行うことが多い。
同社のリノベ事業は、コンセプト先行ではなく、入居者のターゲットに合わせて1物件ごとに企画。管理物件の入居者層は、都内勤めの20代前半〜30代前半の社会人が多く、リノベ後も大きく変化はない。