Q.契約交渉が佳境に至るともう断れない?
A.断れますが損害賠償義務を負うことがあります
契約成立への信頼 裏切りに賠償責任
「契約締結上の過失」という判例法理により、損害賠償責任を負う可能性があります。
民法は、近代法の大原則である契約自由の法理を採用しています。
つまり、契約を締結するか否かは自由であり、契約に向けた交渉がなされても、契約が成立しないうちは、いつでも交渉を打ちきることができます。契約を締結する義務はありません。
しかし、交渉の結果、相手方に対し契約成立への強い信頼を与える段階にまで至った場合、その信頼を裏切り、契約を一方的に打ちきると、信頼したことによって生じた損害について、賠償責任が生じます。
この法理を「契約締結上の過失」といいます。
なお、賃借希望者が在日韓国人であることを主たる理由として契約締結を拒んだ事案で、大阪地方裁判所は、この法理を適用し、賃貸人に損害賠償責任を課しています。(平成5年6月18日判決)