全国にノウハウを提供
北海道札幌市に本社を構えるワンダーストレージホールディングスは、遊休不動産を活用して介護施設の開発と運営を行う。設立13年で、介護が主軸事業に急成長している。
13期目となる2024年の売上高は29億625万円。うち訪問介護を含む高齢者福祉事業が21億円と、全事業の7割超を占める。次に、就労支援事業が4億円と続く。
18年にHD化し、ワンダーストレージホールディングスを持ち株会社に、グループ会社計8社を有する。グループ全体で、北海道札幌市を中心に高齢者介護福祉施設を27施設、障がい者向けグループホームを含めると50施設を運営している。物件の建築から施設運営まで、同グループで手がける。
現在運営する施設のうち、中古物件が7~8割程度だ。中古物件は、一棟アパートや元寮、元ホテル、元高齢者住宅などを同社がオーナーからマスターリースし、入居者に転貸する。オーナーは個人と法人が7対3程度となっている。中古物件の表面利回りは20%、新築は7%が目安だ。
デイサービスと就労支援の複合施設。アフター(上)とビフォー
同社の後藤有紀子常務取締役は「高齢者介護福祉施設の費用は高額になりがち。だが、当社の物件は食事付きで月額6万円台、8万円台から供給している。平均的な年金支給額で入所できるような価格設定だ」と話す。
今後注力するのが研修事業だ。ほかのエリアの不動産会社に対し、研修と共に運営ノウハウを提供し、コンサルティングを行う。すでに茨城県の不動産会社で、同社のコンサルによる介護施設の運営をスタートする案件があるという。コンサル費用は月額5万円で、会員制の経営者向け勉強会を月会費1万円(共に税別)で実施する。
「遊休不動産と介護という二つの社会問題を、スピード感を持って解決するために、当社の考えに賛同する全国の企業の力を借り、多くの仲間をつくっていきたい」(後藤常務取締役)
同社は34年までに年商100億円を目指す。
ワンダーストレージホールディングス
北海道札幌市
後藤有紀子常務取締役(56)
(2024年10月7日2面に掲載)