経済産業省の外局である中小企業庁は、全国の商店街、中心市街地を対象に、まちの魅力向上を支援する。商店街それぞれの個性や多様性を生かして、エリアの価値向上を目指し、持続的な成長の支援に向けた施策を打ち出している。経済産業省近畿経済産業局の吉田優輝課長補佐は、民間企業と自治体による近畿圏の取り組みを集めて、情報発信する。行政主導で創業者を支援するケース、創業者を育成する仕組みを持つ商店街組織、将来の存続に向けた地域の商店街の取り組みなど、内容はさまざまだ。
担い手は地元の有志
吉田課長補佐が成功事例とするものの一つが、京都府福知山市の福知山駅正面通り商店街だ。地域の有志が設立したまちづくり会社、福知山フロント(京都府福知山市)が活性化を担う。同社は、福知山駅正面通商店街振興組合(同)と共に2024年7月、経済産業省の「地域にかがやく わがまち商店街表彰2024」を受賞した。
福知山市は、近畿圏における経済の中心である京都、大阪、神戸市と、舞鶴、京丹後市など日本海側の都市を結ぶ北近畿の要衝だ。人口は7万4000人(24年6月)で、2000年に8万3000人のピークを迎えてから、減少が続く。1946年にできた福知山駅正面通り商店街は南北300mの通りで、最盛期の70〜80年代には90店が軒を連ねた。だが、2015年には33店舗に減少し、いわゆるシャッター通りとなっていた。
駅前を重点エリアに
福知山市が福知山駅正面通商店街振興組合に相談を持ち掛けたのは、15年3月だ。市が策定する「福知山市中心市街地活性化基本計画(第2期計画)」の中核事業として商店街のリニューアル事業に取り組まないかと提案した。組合では、理事長を中心に地域の有志が集まり、各店舗の反応を探った。その結果、提案に前向きな事業者はいるものの、組合として活性化事業への投資が難しいことと、組織の高齢化がわかった。これを受けて同年12月に設立されたのが福知山フロントだ。70代の理事長ら2人と30代の若手経営者6人が出資し、商店街の活性化が始まった。
福知山フロントは活動のポイントを三つに定めた。①空き店舗への新規テナントの誘致、②補助金の活用、③駅正面エリアに限定した集中的な投資だ。