中古の投資用区分ワンルームマンションの流通事業を行うFINE STEP(ファインステップ:東京都千代田区)の社長に10月1日付で、池田竜氏が就任した。会社成長の立役者がさらなる売り上げ向上のために事業拡大に挑む。
賃貸仲介にも事業領域を拡大
独自ルート確保 仕入れ3倍に拡大
池田社長は従来行ってきた事業からさらに領域を拡大していく方針を掲げる。賃貸仲介事業や、売買仲介事業の体制を整えていく計画だ。
FINE STEPは投資用不動産の開発を行うCOLORS(カラーズ:同)を中核とするCOLORSホールディングス(同)の完全子会社だ。
これまで中古の投資用区分マンションの再販をメインに行ってきた。商圏は東京23区内と神奈川県横浜市、川崎市。
2024年9月期の売り上げは13億5000万円で、すべて投資用ワンルームマンションの再販事業によるものだ。
仕入れの対象とするのは築20年以内で、専有面積が20〜40㎡、駅から徒歩10分以内の物件。販売価格は3000万円前後だ。エリアや条件ごとに異なるが、利回りにおけるボーダーラインを設定し、それを上回る物件のみを仕入れて、販売もしくは売買仲介を行う。24年9月期の販売件数は71件だった。
仕入れ先は、独自の仕入れルートによるものが9割、COLORSで投資用不動産を購入したオーナーからが1割。
22年9月期の仕入れ件数は17件だったが、独自の仕入れルートを確保したことにより、23年9月期には約3倍の56件にまで拡大することができたという。
1年で業績10倍 成長の陣頭指揮
池田社長は、事業の推進役を担う。
1999年よりメーカーの経理職として経験を積んできた。2004年には投資用物件の開発と販売を行うシノケングループ(東京都港区)に転職。財務・経理担当として、開発のための資金調達を行っていた。
17年にCOLORSに入社。シノケングループ時代にも同僚だったCOLORSの青木誠社長が開発を、池田社長が財務・経理を担当し、二人三脚で物件の開発に取り組み、COLORSの事業をけん引してきた。
20年にはCOLORSおよび、COLORSホールディングスの取締役に就任。翌21年10月に2社の取締役を務めつつも当時青木社長が社長を務めていたFINE STEPの取締役に就任した。
それ以降、同社の実質的な経営者として陣頭指揮を執っている。22年9月期に1億2000万円だったFINE STEPの売り上げは23年9月期には10億円と一気に10倍に成長した。
3期連続で売り上げが安定して伸びていることを背景に、事業拡大をすべく25年9月期より正式に池田社長が代表に就任。COLORSの取締約役常務執行役員を兼任しながら、FINE STEPのさらなる成長を目指す。
29年度で40億円目標 FC加盟で出店
今後は、売買仲介事業と賃貸仲介事業に力を入れていく。
売買仲介事業では、従来は区分マンションのみを仕入れてきたが、今後は一棟ものも取り扱う。そのために10月に専門部署を立ち上げ、2人を配置した。
賃貸仲介事業は24年9月までCOLORSで行っていたが、10月からはFINE STEPが事業を継承した。これにより、今までは一部物件でCOLORSがサブリース契約を結んでいたため発生しなかった仲介手数料を得られるようになる。
集客強化のために、大東建託リーシング(同)が運営するフランチャイズチェーン(FC)の「いい部屋ネット」に加盟。「いい部屋ネット神田駅東口店」を10月にオープンし、順調に成約を重ねている。
「賃貸仲介事業を行うことで、COLORSの開発物件を購入し、管理を委託する投資家オーナーに対して、当社が優先的にリーシングするという安心感を提供できる。従来の主力事業である中古の投資用マンションの再販事業に加え、賃貸仲介事業でも売り上げを伸ばすことを目指す」と池田社長は話す。
25年9月期の売り上げは16億6000万円を計画。29年9月期の売り上げは40億円を目標に掲げる。
(野中)
(2024年12月9日20面に掲載)