制度変更やその実効性に着目【新春記者座談会】

その他|2025年01月14日

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 2025年の賃貸市場を、全国賃貸住宅新聞の編集部が大予測。本命はAI(人工知能)活用がどこまで進むかだ。人材難に一定の効果が表れる可能性もある。24年に引き続き、液化石油(LP)ガス規制や省エネ性能ラベルの実効性も気になる話題だ。

IT、人材不足解決の一手か

本格化するAI活用

編集長 25年は何といってもAIの活用が鍵になってくるのではないだろうか。24年11月に「明治記念館」で行われた公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(東京都千代田区)主催のイベント「日管協フォーラム2024」では「AIの台頭で、検索エンジンはサーチエンジンではなくアンサーエンジンになっていく」という話が印象的だった。部屋探しにおけるインターネット上での情報収集の手法が激変する可能性があると感じた。管理事業や仲介事業においてもAIを活用し、各社の強みをどう伸ばしていくかが、今後の差別化につながるのではないだろうか。

日管協フォーラムのAI活用セミナーの様子

日管協フォーラムのAI活用セミナーの様子。多くの管理会社関係者らが聴講していた

記者A 現在、不動産会社での多くの生成AI活用の事例は、社内や入居者向けにチャットで質疑応答ができるサービスとしての活用だ。だが今後はより高度化し、業務の内側に入り込んでいくのではないか。

編集長 「グーグル」検索でも、画面上部にAIによる検索の回答まとめと、引用した元サイトのURLが載っている。これが部屋探しに使われるようになれば、将来的には検索エンジンに直接条件を入力し、各不動産会社の物件情報ページに遷移させることができるようになるかもしれない。そうすると、各社のサイトがAIに引用される情報源たり得るかが試されてくる。

記者B 物件の住所と譲れない条件や家賃を入れて検索し最適な結果が出るならば、極論すれば、検索エンジンで直接物件を見つける未来もある。

記者C 部屋探しの工程が大きく変わってくるということか。そうなると、賃貸仲介において不可欠になっているポータルサイトの存在自体に影響を及ぼす可能性も出てくるね。

編集長 管理事業でもAIが大きく関わってくると思う。実際に管理事業で効果的に活用している事例を取材した記者はいる?

記者D 先日取材した管理会社では、工事の見積もりの精度向上にAIを活用していると言っていた。「Chat(チャット)GPT」に、外注先からの原状回復工事の見積もりを読み込ませて、それが適正価格なのかの判断だけでなく、利益を何%まで乗せても適正価格として見なすことができるのかを、AIに試算させる。判断の材料として、修繕工事に使用する材料の品番・価格などのデータを事前に読み込ませて学習させているそうだ。

記者E 担当者によってバラつきの出る判断を統一でき、上長の判断待ちで時間を無駄に使ってしまうことがなくなると考えられる。

記者D さらに、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と「Gmail(メール)」などのメールアプリとを連係させ、オーナーへの見積もり内容の説明を記載したメールもChatGPTが自動で作成している。かなり省力化が進んだと聞いた。

記者A 定期清掃の仕上がりチェックとして、AIを活用している会社もある。自社の求める清掃レベルを画像で学習させ、それを基に、清掃スタッフから上がってきた画像をAIが読み込み、作業完了の可否を判断する。その判断も一瞬でできるから、まずは清掃済みの室内画像を清掃スタッフに送ってもらい、AIに読み込ませて、不足している箇所があればその場で担当者が清掃スタッフに指示することもできる。特に物件が遠方の場合、人の目を最小限にして質を担保できるメリットがある。管理業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が進む中、アウトソーシングのクオリティーの平準化ができる。

記者C 大規模修繕工事の提案レポート作成などにも活用できそうだ。先にひな型を学習させて、現地で写真を撮影し、AIに読み込ませる。そこで必要な工事を判断させる。どの会社も、必ずしも知識の豊富な担当者が現場にいるわけではないから、簡易診断としては有効な提案レポートが作れるのではないだろうか。

編集長 AIは、いかにうまく学習させ、指示できるかが重要になってくる。経営者側も、AIやITの知識と、それを自社の業務に落とし込んだときにどこまで使えるのかをリアルに考えられるかどうかで、事業の生産性に差が出ると言っても過言ではないだろう。

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