香川県高松市の地場不動産会社グローバルセンター(香川県高松市)のグループ会社であるグローバル住研(同)の2代目社長に、上林靖典氏が就任した。グローバルセンターの工事案件を受注するだけでなく、一般顧客へのターゲット拡大も目指す。
新規開拓強化、7年で80%伸長
物件価値向上、提案 家賃5000円アップ
グローバル住研は、母体であるグローバルセンターでのリフォームや工事の案件を請け負うことで事業を成長させてきた。今後は、一般顧客にもサービスを展開していく。
グローバル住研は原状回復工事(以下、原復)やリノベーションといった工事のほか、物件のクリーニングや共用部の維持管理なども行う。受注はグローバルセンターの管理物件がメインで、同社管理物件の工事案件のうち7割をグローバル住研で請け負う。
2023年度の売り上げは10億6798万円。
原復の際、リノベも提案することに力を入れている。グローバルセンターの管理物件の平均築年数は28年と、築古が多い。そこで、リノベ提案を進め、物件の競争力を向上させることで家賃を向上平均で家賃を5000円上げ、24年は約60件のリノベを実施した。
他部門を取り込み 社員数12倍に
24年7月に就任した上林社長は新規開拓の豊富な経験を基に、同社の業績を伸ばした立役者だ。
大学を卒業後、銀行で法人や個人顧客の新規開拓をしてきた。1996年に携帯電話の地域事業者に転職し、販売店の開拓や販売施策などの業務に従事。部門責任者まで務め、50歳で退職した。
その後、グローバルセンターに2016年1月に入社。入社後1年半は社長室で冨田稔社長の下で不動産管理事業について学んだ後、リノベーション部の部長が空席だったため、着任した。
当時のグローバル住研は事業規模が小さく、社員も4人だった。上林社長は同部に所属しながらグローバル住研への出向役員として経営を指揮していた。
グローバル住研はグローバルセンターの工事を内製化することを目的としていたものの、当時は依頼された案件を断る状況にあった。「事業実績が低調で、部署がなくなってもおかしくない状況だった。社員も不安を抱えており、モチベーションが低かったことが課題だった」と上林社長は話す。
リノベ事業未経験者の上林社長は簡単に部下らに信用してもらうため、ほかのスタッフと同じ仕事をし、率先して売り上げを伸ばした。上林社長の働きを見たほかの社員も触発され、積極的に仕事に取り組むようになった。
1年後にはグローバルセンターの原復部門を吸収。その後も現在の事業内容につながる部門を吸収していき、それに伴い社員も増加した。グローバル住研が独立して運営が可能な規模にまで成長したことから、23年12月にグローバル住研としての営業所を設立。上林社長は24年7月にグローバル住研のトップに就任した。
24年11月末日時点で社員はパートを含め48人。売り上げは16年比で約1.8倍にまで伸びた。
グローバル住研でリノベした物件のアフター(上)とビフォー
一般顧客にも提供 前年比110%目標
これから目指すのは、より地域に貢献できる事業展開だ。そこで、今まではグローバルセンターの管理物件に対して提供していたリフォームや、ハウスクリーニング、除草作業などを一般顧客にも提供。地域住民に寄り添った事業を展開していく。
そのためにベンリーコーポレーション(愛知県清須市)が提供する住まいの困り事解決を行うフランチャイズチェーン(FC)「Benry(ベンリー)」に加盟。25年6月からBenryの加盟店として事業をスタートする予定だ。
「グローバルセンターとして提供してきたサービスを、一般顧客にも広げていき、この高松の地に根付き、地域住民に必要とされる企業になりたい」(上林社長)
売り上げを毎年、前年比最低110%に伸長していくことが目標だ。
(野中)
(2025年1月13日20面に掲載)