ワンルームのリノベーションに強みを持つリズム(東京都渋谷区)は、グループで110億円の売上高を誇る。築古物件のリノベ、買い取り再販、賃貸管理などを手がける。リノベブランド「REISM(リズム)」のブランド価値を高め、固定顧客を増やすことで安定成長と企業価値の向上を目指す。
単体売上63億円 HD化で社長育成
―中古物件のリノベ、再販において、業界での知名度が高い印象です。
当社は、収益性を保持・向上できる中古物件の再生とその流通を強みにしています。2005年の設立以降、累計で1000戸以上の収益物件のリノベを手がけてきました。これまでに発表したリノベシリーズは36種類に上ります。24年11月期は103戸のリノベを施工し、95戸を販売しました。販売だけでなく、その後の入居付け、賃貸管理も一括して行います。管理戸数は2400戸、2月末時点の入居率は99.9%です。オーナーは1300人ほどです。
――現在の事業規模を教えてください。
24年の売上高は当社単体で約63億円。そのうち、販売による売り上げが9割程度となっています。グループでは100億〜110億円程度となっています。
―23年10月にはホールディングス(以下、HD)化されました。
持ち株会社となる齋藤信勝(同)を設立。事業会社は現在7社あります。リズムもHDの子会社となっています。直近のリズム単体の売上高の減少は、グループ会社で独立していることにも関係があります。
―大変インパクトのある社名ですね。なぜHD化されたのでしょう。
自分も60歳目前となり、ここ数年は将来、リズムをどのように承継していくのかを真剣に考えてきました。子どもに譲ることもありませんし、会社を売却したいわけでもありません。ただ、これまで培ってきた「REISM」というブランドを広げていきたいという思いがあります。そのためには、社員たちのステップアップの場が必要だと考えたのです。
―グループ企業の社長は皆さん、御社の卒業生なのですか。
そうです。リズムで育った社員が、自分の仕事の中で一番好きな仕事を自分の会社にする形です。そうすると、リズム本体の中でも上のポジションが必然的に空くことになります。リズムが好きでリズムの中で活躍したい社員は、そのままステップアップもできます。自分の会社を持って一番好きな仕事に特化したい社員は、グループ会社として独立するというルートも選択できます。
―成長のロールモデルが複数あるというイメージなのですね。
ただマンションを売るだけでなく、経営的な勉強をして次のステージに進むモデルがないと、若い社員たちは仕事に憧れを持つことができません。自身の会社を経営しつつも、グループの中で支え合う仕組みです。