家賃上昇、1万円超の増加も【2025年繁忙期総括】
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管理・仲介業|2025年05月12日
2025年の繁忙期は、成約家賃の上昇を実感する不動産会社が増えていることが調査から見えた。
都内・地方問わず相場アップ
顧客層を拡大 高まる郊外需要
法人顧客を中心に年間賃貸仲介件数1786件のRPG(東京都新宿区)では、郊外物件への問い合わせが増加したという。中でもIT系の法人顧客は、問い合わせ件数が24年比120%程度に増加。都心の賃料が上がっている影響から、郊外で都心にアクセスの良い物件が東京都内の妥協案として選ばれた。
商圏内で解約が少なかったこともあり、単身者向け・ファミリー向け問わず、平均2万4000円ほど家賃が上昇したという。しかしこの家賃上昇はすでに、入居者の支払い能力の限界に達しているため継続的なものではなく、26年からは少しずつ下がっていくと想定している。
RPGの店舗内観
25年の繁忙期では、成約件数を大幅に伸ばした。25年繁忙期の成約件数は24年同期比で1.6倍となった。要因の一つは、24年8月からサービスを開始した、同社の従業員がタクシーやシェアカーを活用して、内見時の送迎を無料で行う「ラクタク賃貸」が好調だったことにある。二つ目は顧客である法人の開拓。商社に加え、脱毛サロンをはじめとする美容系などのサービス業の法人顧客を増やした。
望月直樹社長は「顧客開拓では『フェイスブック』からDMを送ることはもちろん、サービス業を行っている会社の交流会に参加。意識的にサービス業の顧客を増やした。これが成約件数の増加に起因している。加えて、サービス業の休日は平日に多いことも、土日に集中する来店を分散することにもつながった」と話す。
家族向け急伸 家賃5万円増も
東京23区内を中心に賃貸仲介・管理事業を行うスペース(東京都中野区)は、今繁忙期の特徴として、商圏で相場家賃が上がっていることを挙げた。単身者向けは築浅や設備が整った物件であれば、平均で1万円ほど家賃が上昇したという。ファミリータイプはさらに家賃が上昇。物件にもよるが前賃料より5〜20%アップで成約した。事例として、東京都目黒区にある3LDKのメゾネットタイプの物件では、24年3月は賃料25万円だったが25年3月は30万円で成約したという。
1〜3月期の成約件数は24年同期比で3割増となった。ファミリータイプ物件の問い合わせが特に上昇したという。辰巳啓翔課長代理は「ファミリー居住者の中には自宅購入を理由に退去する人も一定数いるが、新築物件の価格が高いので購入できず賃貸を選択する人が増えたのでは」と話す。
エリアでの需要増加以外に、社内の体制を見直し、事務業務を行う人員を増やして、営業活動に専念できる環境を整えたことも成約件数を伸ばした理由だという。