近年の不動産賃貸業では、物件のクオリティーで他社と差別化を図るのは難しくなっています。しかし、顧客が「どの不動産会社を選んでも同じ」と感じているわけではありません。不動産会社のAlba Link(アルバリンク:東京都江東区)が実施した調査によると、不動産会社を利用する際に重視することの第1位は「担当者の対応力・人柄」となっています。
つまり、対応力や人間性に優れた社員がいる会社ほど、顧客から選ばれやすいということです。商品(物件)での差別化が困難な今、不動産賃貸事業者が競争力を高めていくためには、いかに優秀な人材を確保できるかにかかっています。
では、こうした優秀な人材はどのような会社に魅力を感じるのでしょうか。
そして、優秀な人材から「選ばれる会社」になるためには、何が必要なのでしょうか。
今回は、変化する労働市場と若手人材の就労観を踏まえながら、不動産賃貸業界において、選ばれる会社づくりのポイントについて解説していきます。
商品で差別化できない時代 人と組織の力で差をつける
優秀な人材ほど、会社に時間を「投資」している
「内見対応ばかりで成長を実感できない」「ノルマばかりが重視され、やりがいを感じられない」
こうした理由から、早期離職に至る社員は少なくありません。「もう少し頑張ってみればいいのに」と言いたくなるかもしれませんが、若手社員にはなかなか響かないのが現状です。
終身雇用が当たり前ではなくなり、若手社員は「いつか今の会社を辞めることが前提」で自分のキャリアを考えるようになりました。もはや転職は当然の選択肢となっています。
加えて、近年は企業から「選ばれる人材」と「選ばれない人材」の二極化が進んでおり「このままこの会社にいて、自分のキャリアは大丈夫だろうか?」といった不安を抱えながら働いている若手社員は少なくありません。結果的に働くことを短い時間軸で捉えてしまい「自分のキャリアにとってプラスにならない」と判断すればすぐに辞めてしまうケースが多くなっています。