タクシン不動産/秦ホーム、物件のバリューアップに注力【人口減エリアで生き残る】

タクシン不動産,秦ホーム

管理・仲介業|2025年09月08日

 人口減少が進む高知市をメイン商圏とするタクシン不動産(高知市)は、顧客に選ばれる地域づくりを目指す。グループで賃貸仲介を行う秦ホーム(同)の秋月良介社長は「地元を離れた若者が戻ってくるような物件への改修や、施設の誘致を行っていきたい」と展望を話す。

「若者に選ばれる街に」

高知市で管理2700戸 売上、平均15%伸長

 タクシン不動産は物件のバリューアップ提案を強化し、人口減による空室率の上昇に対抗する。加えて商圏内で新たな施設を誘致するなど、県外へ出た若年層が、Uターンしたくなるようなまちづくりにも着手していきたいとする。

 同社は高知市を主な商圏として、管理を手がける。管理戸数は約2700戸。グループ会社の秦ホームで賃貸仲介店舗の運営を行い、年間賃貸仲介件数は700件だ。

 売上高は非開示だが、売り上げは毎年平均で15%ずつ向上している。2社合計の売上構成比で売買仲介が60%、管理が20%、賃貸仲介が15%、そのほかが5%だ。

 高知市の人口は、2024年10月1日時点で31万3008人。人口は減少傾向にあり、24年までの直近5年間では年間約1400〜4000人ほど減っている。平均減少率は0.99%。

高知市の人口・世帯推移グラフ

高知市概要

 世帯数は同時期で16万4183世帯だ。直近5年間のうち22年まで増加傾向にあったものの、23年からは減少に転調している。

 高知県全体で見ると、県内の人口の約半数が高知市に集中している。緊急性は高くないとしつつも、目減りする人口数や世帯数に対し、秦ホームの秋月社長は「足元では空室率の高まりを懸念している」と危機感を抱く。人口減が進むことで住み手の母数が少なくなるため、顧客に選ばれる物件に改修していく必要性を感じている。

 「万人受けする無難な部屋ではなく、入居者ターゲット層を絞り込んだ物件づくりを目指す。そうすることで、市場に多数の物件が出回っていても埋もれなくなる」

 同社は24年4月ごろから、オーナーへのバリューアップの提案を強化し始めた。ほかの物件と比較したときに、決め手になり得る設備の導入を進めている。

 例えば、学生がターゲットの物件にはグレードの高いシャワーヘッドを導入。ペット飼育可の物件には「Airdog(エアドッグ)」という、ペットのにおいを消すことができる空気洗浄機を採用した。秋月社長は「『欲しいけど、自分で買うほどではない設備』というラインを狙っている」と説明する。

Airdogを導入した物件

ペットの匂いを消すことのできるAirdogを導入した物件

 大規模な改修では、1階の住戸1戸を、入居者なら誰でも利用できるランドリースペースにする予定もある。高知県は全国でも降水量が多いため、専有部以外でも洗濯ができると喜ばれると考えたという。

 専有部だけではなく、共用部も含めた物件トータルでの付加価値を検討する。

 物件のバリューアップは、賃貸仲介の現場でヒアリングした顧客の声を基に、月1回に行われる会議で議題にあげている。てこ入れの必要性が高い物件をピックアップし、入居率を改善するためのアイデアを出し合う。これらの取り組みにより、管理戸数を年200戸ずつほど増やしながら、入居率95%を維持している。加えて、改修提案を強化したことでリフォーム事業売り上げも30%伸びているという。

 「当社では入居率そのものよりも、『どれだけ入居率を改善したか』の改善率を重視している。提案を強化し始めた24年以降、改善率は2ポイント高まった」

地域の魅力向上 差別化を重要視

 秋月社長は「若者が戻ってくるようにするためには、物件と同様に地域にも差別化要素が必要。Uターンの需要をつかみ、人口減に歯止めをかける」と話す。大学入学などをきっかけに県外へ出た若年層が、就職のタイミングなどで地元に戻ることを検討したときに、住みたいと思えるような地域づくりをしていきたいとする。

 そのためには、企業誘致が必要だと考える。その一環で、市内へのコワーキングスペース運営会社の誘致を検討する。地域の一角にコワーキングスペースができることで、多様化する働き方に対応。それにより、新しい魅力をもたらす企業の進出支援につなげる。商圏内に進出してもらうことで街の価値を上げていく。

 「賃貸仲介を通して、このエリアに住もうとしている人たちが街に欲しいと感じている施設などをヒアリングしている。実際の施設の稼働は、28年ごろを目指す」(秋月社長)

秦ホーム 秋月良介社長の写真

秦ホーム
高知市
秋月良介社長

(國吉)
(2025年9月8日23面に掲載)

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