サムティプロパティマネジメント(大阪市)は、賃貸マンションデベロッパー大手のサムティグループで、PM事業を担当する。管理戸数は4万1000戸、2024年12月期の売り上げは74億円、25年12月期は売り上げ84億円、営業利益4億円を見込む。植田剛志社長に話を聞いた。
「PM手数料、安すぎる」
1年で7000戸増加 外部投資家も
サムティプロパティマネジメントの売り上げの70%を占めるのが、賃貸管理事業だ。REIT、ファンドから受託するPM事業が売り上げ全体の31.5%、グループで保有する物件の管理が26.6%、外部オーナーから受託する管理が11.9%だ。サブリースはごく一部に限られ、現状新規では受け付けていない。
管理戸数は、25年だけで約7000戸増加した。その大半は、グループでマンション開発を担うサムティ(同)が開発した全国の新築賃貸マンションだ。
サムティは、建てた賃貸マンションの大半を3年程度保有する。その後、多くはグループが設立した上場REIT、サムティ・レジデンシャル投資法人(東京都千代田区)に売却される。ただし、上場REITはグループ会社ではないため、独自の経営方針のもと投資判断を行う。その結果、収益性が高くても規模や立地など条件にそぐわない物件は対象外となる。それらがグループ外の一般投資家、私募ファンドに売却される。
リーシングは自社で行わない。物件が全国に点在するため、拠点を置くコストが重くなるためだ。管理物件の入居率は大型の新築供給が続いているため90~95%を推移する。半数を法人顧客が占めている
報告書作成に強み 規模生かし効率化
同社が目下強化するのが、グループ外の私募ファンドやAMからのPM受託だ。25年11月時点で8~9社ほど対応しており、グループの別事業につながる相乗効果も生まれている。サムティ・レジデンシャル投資法人に売却できなかった物件や、サムティ・レジデンシャル投資法人が購入した後、数年間の保有を経て売却した後のPM受託を狙う。
PM事業は、監督官庁や機関投資家に向けた詳細なレポート作成が肝となる。手間が掛かる一方で、PM受託手数料は賃料の2%程度が相場で、薄利の仕事だ。他社が参入しにくい領域で強みを生かし、シェア拡大を目指す。
同社は、サムティ・レジデンシャル投資法人との関係から、スケールメリットを活かし事務業務を組織化した。社員数300人のうち、PMにかかわる事務スタッフが半分強を占める。
入居者の現地対応業務を内製化していることも強みだ。PM受託企業の多くはレポート作成業務に特化する。そのため、ファンド側は現地対応を別会社に依頼しなければならない。「レポーティングと現地対応を我々が単独で引き受けることができる。ファンドにとってコストの削減にもつながる」
サムティが開発する賃貸マンション「S-RESIDENCE」の外観
グループとしては、私募ファンド設立も目指している。REITで購入できなかった物件をグループ内に留めるための対策だ。
入居者、事業者対応 自動化目標8割
課題は、社員数を増やさず、業務のクオリティを維持する効率化の推進だ。グループ全体としてDX化を推進しており、今期、来期で約5000万円の予算を取る。手始めに、電話対応の自動化を進める。
「入居者対応とリーシングにおける事業者対応を、8割を目標に自動化する。現状、受電内容の8割は、個別に回答する必要のない質問だ。システムで効率化するよりも、価値観を変えていく方がイメージに近い。1~3年でやらないと生き残れない」
もう一つが、AM業界が使用する基幹システムと、PM業界で使用するシステムの連携だ。2つのシステムを統合できないため、現場は片方に格納されたデータを使用する際、もう片方に入力する手間を要している。今後、定型業務を自動化するRPAとAIを組み合わせ、効率化を目指す。
「1つのシステムに統合するイメージはない。その時期に最適なシステムに乗り換え細分化する。システムを1つに限定すると莫大な費用が掛かる。税制変更などの度に、システムに反映する作業も膨大だ。メリットがあまりない」
管理職の年収を1000万円にすることも目標の一つだ。優秀な人材の確保、流出阻止が目的だ。そのために、PM受託料の底上を目指す。
「賃料の2%という業界水準は低すぎる。PM業界は、価格競争から脱却しなければならない。今のままでは人が定着せず、業界そのものが存続できない。プロフェッショナルとして知識をお金にして、価格でなく品質を武器に戦わなければならない」
【プロフィール】
1967年生まれ。高校卒業後、父親が経営する京都のホテルに就職。バブル崩壊でホテル廃業を機に、不動産管理会社の関西コミュニティに入社。管理部門を独立させカンコミの代表に就任。リーマンショックを機にサムティに会社を売却、新生サムティ管理の専務に就任。2022年より現職。
(2026年1月5日23面に掲載)





