都とのファンドで160戸供給 長期保有でリターン確保
投資家向けに不動産情報の発信などを行うヤモリは、空き家を活用したアフォーダブル住宅の供給に取り組む。アフォーダブル住宅は中・低所得者が手頃な家賃で入居できる住宅のことで、近年家賃が高騰する都市部で必要性が認識されている。東京都は2月、アフォーダブル住宅供給のため四つの官民連携ファンドを創設。ヤモリが運営事業者の1社として選定された。
官民連携ファンドは、東京都と民間の運営事業者が出資して組成される。運営事業者が物件取得から運営までを担い、民間主導のアフォーダブル住宅供給モデルをつくる。東京都は四つのファンドに合計100億円、民間運営事業者も同額以上を出資する。
ファンドごとにアフォーダブル住宅供給の方法は異なる。中古物件を取得・再生するファンドもあれば、新築物件を取得するファンドもある。ヤモリは三菱UFJ信託銀行と共に、中古戸建て物件を取得・再生する形でアフォーダブル住宅を供給する。入居対象者は子育て世帯で、相場の80%程度の賃料で160戸以上を供給する計画だ。ファンド規模は、東京都と三菱UFJ信託銀行がそれぞれ20億円を出資し、合計40億円でスタートする。
ヤモリは以前から物件を購入・保有して再生し、賃貸物件として貸し出すことで空き家活用を進めてきた。2019年の創業以来、再生実績は全国で約250戸に達する。その中には、北海道から九州までを含む地方の物件のほか、東京23区内の物件もある。購入物件は、東京都ならリフォーム込みで2000万円以下、そのほかの地域なら1000万円以下を目安に選定する。購入した物件は、必要な箇所に絞ってリフォームを施す。主な施工は、水回りの交換や床・壁の補修、断熱・耐震工事などだ。
同社の空き家活用の特徴は、購入した物件を長期保有する点にある。藤澤正太郎社長は「500万円で購入したものをリフォームし、月々7万円で賃貸して少しずつ回収していくモデル。500万円で購入した物件を1000万円で販売する買い取り再販と違って回収に時間はかかるが、短期的には利益が出ない放置されている空き家も活用することができる」と話す。同社が物件を購入する際、平均回収期間10 年と長期的にリターンを得る計画を立てている。
東京都の官民連携ファンドの運営事業者としても、これまでと同様のスキームで空き家を購入・再生し、アフォーダブル住宅として供給する。エリアは都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)を含む都内全域で、リフォーム込みで4000万円を上限として物件を取得する。
「子育て世帯が住みやすいよう、リフォームの質を上げていきたい。空気清浄機など、子育て世帯に喜ばれる設備の設置も検討している」(藤澤社長)
ヤモリ
藤澤正太郎社長
(2026年3月23日2面に掲載)




